そばにいる気がして

20年ぶりにここの扉を開いた


このBARは私とあの人の思い出の場所だ。



カウンターの高い椅子はこの歳では

なかなか座るのが大変だった


若い頃はあんなに簡単に座ってたのにね。



バーテンダーが注文を取りに来る


私はグレンリヴェット12年をお願いした。



置かれたボトルへの違和感は

きっとボトルデザインが変わっているからだ


そういえば店主の顔も変わっている


店の内装だけが時代に取り残されたように佇んでいた。



そっとグラスに口をつける


こんな味だったかしら?


バーテンダーはデザインが変わると味わいも変わると説明してくれた。



それでも、あなたと飲んだ事を思い出して

私の胸はいっぱいになった。


私はバーテンダーにお礼を言って店を出る。


そうね。青春はバトンタッチされていくのよね。

ウイスキーが時代によって味を変えていくように。



「そうでしょ?あなた・・・」


私は空に向かって呟いてた



「そんな事は当たり前だ」ってあなたが笑った気がした

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お酒の詩 七星けむり @tsuchi-tsuchi

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