第9話 ネナシ
夕暮れ街の
匂いが好きなのは
なぜだろう
知らない家の
味噌と大蒜のかぜ
霞みガラスの向こうの鍋に木べら
裸電球の橙色
市営住宅の頼りない灯り
擦り切れそうなカーテン
嘘みたいな生活感
降りてくる
夜のベールの隠す不都合
その向こうに
僕がいることを願う
うんと遠くの街を想うことが
ここよりもはるかに懐かしい
数多の窓の数だけ
広がる僕の生活
どこだ
どこを覗けば僕はいる
やがて宵に沈んだ
匂いは消えていた
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