第8話 イスナ

冷めたコンクリートの上をころがった砂が

ひとつふたつ

風にさらわれてどこかへいったよ

髪を撫でるような風だったよ

素顔を失った子どもたちが

両手を広げて走り去る

ましろい壁

ましろい天井

果てのないホール

床に置きっぱなしの

ミネラルウォーターのボトル

まどろみが首を伝い

コンクリートを灰色にぬらした

喉の奥がひどく渇く

コンクリートの

凍てついた砂の感触

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