十六日目 遠足①

「じゃあ今日は遠足ですよー。こっから能力者について詳しい資料館に行くですよー。」


まじか。


「良かったね敦也、絶対敦也の展示あるじゃん。」


不吉なこと言わないでよ璃子。

─そんな気しかしないけど。


クラスのみんなもそんなとこ行くよりこいつに聞いた方が早くね?って顔してる。


「いやー。楽しみだ。」


他人事だと思って栞め。


「そんなこと言って栞も人の事言えないからね?」


───────────────────────


なんやかんやあって門の前に到着。


「あれ、思ってたよりも広いね。水族館より広いんじゃない?」


いや、仮にもだいぶ盛んなことなんだし、水族館と比べることはないでしょ、璃子。


そのまま中に入ろうとすると、


「せっかくの遠足なんですよ?もちろんスマホから出ますよねー?」


「えっ、」


「ですよねー?」


圧。

その一言に尽きる。


圧に屈し外に出る。

何故こんなことに…。


さて、入ろうとして係員の人と目が合う。

あれ、なんか凝視されてるな…。


「ま、まさか第1位ですか!?」


ビクッ。


先生~。

恨みがましい目を向けるもどこ吹く風だ。


「さ、サインをお願いできますか?」


なぜ色紙なんて今持ってるんだ。

ご丁寧にサインペンまで。


あとなんで俺と喋る時みんなどもるんだ!


えっ、そうなの!

ほんとだ!

と、ギャラリーが増えていく。


気づかなかった!と言ってる人もいるけどそんなバレてたら身が持たないわ!


なんで館内に入る前からこんなことになるんだよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る