ある少年が魔王になるまで

秋夏咲

プロローグ

プロローグ1

 これはある少年の物語。


 この世界には魔法というものがあった。

 その魔法の中に“ステータス”というものがある。ステータスは自身が持っているスキルや耐性、状態異常などを確認できるものだった。

 だがそんな便利な魔法にも適性があった。適性は、魔法の属性ごとに違った。

 ステータスは無属性に属し、どんなに適性が低くても扱うことが出来る魔法だった。

 が、少年には魔法の適性はなかった。無属性にすら。


 魔法が使えないというだけで世界は残酷だった。

 その少年を人として扱わず、飯や衣服、寝るとこすら与えない。

 もし、その少年に親がいたならば、苦労はするだろうが、このような扱いはされなかっただろう。

 そう、少年は孤児だった。魔法がないというだけで孤児院にすら引き取られない。


 ある日のこと。

 変わらず、自分を痛ぶろうと近づいてくる者達がいた。このスラム街に似合わない、豪華な格好。貴族。その子供。

 貴族の子供は、自分が魔法が使ず、反撃が出来ないのをいいことに、定期的に自分を殴ったりしてくる。

 そう、変わらない日々。そのはずだった。いつも通り、自分を殴ってくる貴族を見ながら、何かが切れたような気がした。

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