第19話 緊急クエスト

※旅行いくので短いです




 ならずもの冒険者を撃退し、俺たちは冒険者ギルドを利用できるようになった。

 さっそく、受付嬢さんに話をきいてみる。


「なにか困っていることはないですか? 俺たち、この街の人々の力になりたいんです」


 俺たちは困っている人を助けるために冒険している。

 冒険者ギルドになら、きっと困っている人がいるはずだ。

 受付嬢さんは、心当たりがあるような顔をして答えた。


「それなら……! 今、ちょうど緊急クエストが張り出されているんですよ」

「緊急クエストですか……! それは大変ですね……」


 緊急クエストというのは、文字通り、緊急を要するクエストのことだ。

 街に重大な危機が迫ったときなんかに、張り出されるクエストだ。

 まあ、とはいっても、本当に差し迫った危機の場合は、クエストが張り出される暇もないんだけどな……。

 この前のスタンピードなんかは、クエストとかが張り出される間もなく、街中が大変なことになったからな。


 緊急クエストは、普通のクエストよりも高めに報酬が設定されている。

 それは、なるべくはやく解決したい事案だからだ。

 それに、なるべく強い冒険者にやってもらいたいのだ。

 まあ、俺は別に報酬目当てではないけれど。

 緊急クエストということは、それだけ困っているということだろう?

 だったら、受けない手はない。


「そのクエストについて、教えてください」

「はい。内容はリッチキングの討伐になっていますね」

「リッチキング……!?」


 きいたこともないモンスターだ。

 キングというくらいだから、よほど強いのだろうな。

 リッチというモンスターは、普通によく知られている中級モンスターだ。

 リッチはまあ、強敵ではあるが、倒せないような相手ではない。

 リッチの能力は、死んだモンスターを蘇らせるものだ。

 ただし、同種のモンスターは生き返らせれないから、リッチがリッチを蘇生させて……っていうことはできないようになっている。


 だが、リッチの蘇生能力はなかなかに厄介だ。

 リッチに蘇生されたモンスターは、アンデッドとなり、そんじょそこらの攻撃では死なない。

 アンデッドモンスターを殺す方法はただ一つ、リッチ本体を始末することだ。

 リッチ本体は別に不死身でもなんでもない。

 だがリッチキングともなると、どれほどなものかは計り知れない。

 

「リッチキングですか、それはどういったモンスターなんですか……?」

「詳しくはまだわかっていないのですが……おそらく突然変異で生まれたリッチの上位種でしょうね。どうやら帰還した冒険者からの情報によると、リッチキングは不死身だそうです」

「えぇ……!? 不死身……!?」

「ええ、リッチキングが死ぬと、リッチたちがリッチキングを蘇生するようなのです。リッチを倒しても、今度はリッチキングがリッチを蘇生し……、それが無限に続いて、倒すことができないそうなんですよ……」

「それは……大変ですね」

「もうかなりの数の冒険者がやられていて、困っているんです」

「なるほど……俺たちに任せておいてください!」


 これはかなりの強敵だな。

 そんなモンスターがいたんじゃ、みんな困っているはずだ。

 さっそく俺たちはそのクエストを受けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る