第31話 端午の節句

 5月5日は、国民の休日としての「子どもの日」。

 もとはと言えば、男の子のための「端午の節句」。


 ひな祭りの3月3日は国民の休日にならず、端午の節句のみが休日になっている。

 これが女性軽視ではないかと騒げそうなものだが、誰も、騒いだ試しが見えない。

 米河氏は、この3日からの3連休を「ミニキャンプ」と位置づけ、執筆している。

 これまで停滞気味だった仕事を、何とか軌道に乗せ直そうという趣旨なのである。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 一方、最終戦争に向けての準備にも、余念がない。

 まずは、最初の一撃をいかに仕掛けていくべきか。

 それはすなわち、先方からの最初の一撃へのダメージコントロールも、意味する。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 あのよつ葉園の当時の職員各位は、やれ世の中が厳しいの社会に出たらどうのこうのと、わかった口を利いておったが、どれも今思えば、子どもだましレベルの域を出るものではなかった。しかし、今度ばかりは、そうはいかない。

 中途半端な年齢を生きてきたことを奇貨として、わかった口を利くような年端の行かぬ職員風情を切り捨てていくように行くわけもない。

 森川さんが生前に当時の児童らにのたまっていたような論調で自分にかかってくることなど、金輪際、ありえない。

 ま、そうなれば、こちらから退席あるのみではあるが。


 さあ、いかにして切り込むか。

 切り込まれるとしても、それをいかに耐えて反撃に移るか。

 彼は執筆の仕事をしつつも、そんなことばかり考えている。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 約50年前には、端午の節句として兜を飾られていた少年。

 今や、日曜朝にはプリキュアを張り切って観る謎の中年男。

 男女の境にかれこれ物言いのつく今日この頃では、あるが、

 そんな時代に、かつての日本男子らは、どう戦い抜くのか。


 決戦の火ぶたは、もうすぐ切られる。

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