我思う故に夢あり

朝霞まひろ

第1話


「しょうがない。」

「よく頑張ったよ。」

「次は頑張ろう。」


 うるさい。うるさい。

 しょうがなくなんてない。実力が足りなかっただけ。

 慰めないで。そんな言葉を聞きたかったんじゃない。 

 頑張ろうなんて思っちゃいない。あんたらが勝手にそう見ただけだ。



「世の中、こんなもんさ。」

「夢なんて叶わないもんよ。」

「他の事やればいいじゃん。」


 黙れ。黙れ。黙れ。

 理解者ぶるな。私を気遣うな。

 勝手に私の夢を終わらせるな。叶うまで続けないから、叶わないんだろ。

 幾つもの中から、選んだんじゃない。やりたいからやってるんだ。



「続けてもお金にならない。」

「将来のこと、どう考えてるの?」

「賢く生きなよ。」


 お金のためなんかで始めたんじゃない。好きだからやってんだ。

 ちゃんと考えた。何十回、何百回と。不安にならない日なんて、1日もなかった。でも、これがない私なんて想像出来なかった。そんな私になりたくなかった。

 賢く精一杯、毎日生きてる人がどれだけ凄いか知っている。それが、簡単じゃないことだって分かってる。そういう生き方だって考えた。でも、夢を捨てられない。

 


「もう十分やったでしょ。」

「あなたが心配で。」

「現実に目を向けて。」


 そうだね。もう何年もやった。

 心配かけてごめん。心配してくれて、ありがとう。ちゃんと伝わってるよ。

 それが正しいんだと思う。きっと、私は間違っているんだとも思う。


 それでも、ごめんね。

 私は続けるよ。

 夢の先にしか私はいないから。

 もったいないから続けるんじゃない。

 ただ、好きだから続けるの。

 私にはこれしかないから。

 私の夢を叶えられるのは、あなたたちではないから。

 私の夢は私が叶えないといけないから。


 だから、私は、私達は明日も続けるの。

 周りから何を言われても。

 どんなに苦しくても。

 その情熱が誰にも伝わらなくても。

 ただ、好きだから。

 この道の先に、夢を叶えた私がいるって信じているから。

 

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