いいわけ

雨月 史

営業先でなんて言えばいいんだ!!

ある日の昼下がり、

私はいつもの様にランチを楽しむと、

体が酸素を求めているサインを感じた。

欠伸あくびである。

大きく息を吸い込んで、

酸素を取り入れる自然と意識が、

眠りへ向かう様に誘うのだ。

私は自分の定位置に向かい、

毎日当たり前のように守っている

「昼寝」という

ルーティンを今日も行うはずだった。

なのに今日に限って……。


その時は突然訪れた…。


目の前で顔を抑えながら

うずくまり悶える男に冷たい目線を送る。

肩で息をしながら、

今起きた出来事を少しずつ実感していた。


仕方がなかったんだ。

そもそも彼が悪いのよ。

それに……

それにやらなければ逆に

私がやられていたかもしれない……。


私はいつものようにただ、

部屋の中で、

私の居場所であるソファで

少しうつらうつらしてただけなのよ。

それは私にとっては至福の時なの、

ご飯の後の休憩って必要でしょう?

生命にとっては宿命みたいなものじゃない?


そりゃ彼はいつだって優しくて、

いつも一緒にご飯を食べてくれるし、

私の好きな食べ物も熟知してる。


それに……それに……クスン……。

わたしただってさみしい時はあるわ。

そんな時彼に抱きしめられると、

とてもとても落ち着くの。

抱きしめられて頭を撫でられると、

これ以上の至福はないのではないか?

とまで感じるのよ。

あっでもソファの昼寝が一番だけどね。


なのに今日の彼は最低だった。

こんなにも私の事を思ってくれていると信じていたのに……。

私の喜びを

私の至福の時間を

奪ったのだから!!

私にだって心というものがあるのよ。

あなたの思い通りにはならないわ!!

結局彼は私の事なんてわかっていなかったのよ……。



「と 彼女はしてるみたいよ。」


目の前に頰に爪を立てらた旦那を見ながら、

ミーコ(飼い猫)の代弁をしてあげた。


「なんだよそれ?痛いなー本当に。あーー顔に引っ掻きキズが……こんな顔で営業回りすんのかよ。最悪だ……(涙)」



           end

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いいわけ 雨月 史 @9490002

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