心霊体験の証明

 実際に心霊体験(?)をしても実感はわかないもので……。

 なぜ実感がわかないのか理由を考えてみれば。


 ……結局のところ。

 ……証明できる証拠がないから。


  簡単に言えば『勘違ひとりよがりい』なのだろう。


 だからこそ、ひとりよがりじゃなくなった時は恐ろしいものである。そんな実例エピソードを今日は書いてみよう。


 私の実家はいわゆる『本家』である。

『本家』というと先祖代々受け継がれてきた家のような存在であるが。簡単に言えば、古いのである。

 だからこそ、いろいろなエピソードもあるもので。



 これは私の兄二人が小学校低学年の時の話だ。二階の廊下で遊んでいた兄達。


 奥から二番目の部屋のふすまが全開になっており、鬼ごっこをしていた二人はいつものようにその部屋の前を走りぬける。

 もちろん、全開の襖のせいで部屋の中は丸見え。


 鬼役の長男から逃げていた次男が急に足を止めた。長男は次男にタッチをする。


 長男「なんだ? 急に止まって」


 次男「……誰か、寝てた」


 長男「は?」


 次男「知らない人が寝ていた」


 次男は襖全開の部屋を指差した。


 二人で部屋を覗きこむ。

 布団は敷いてあるが、誰もいなかった。

 長男は言う。


 長男「……そうだよね。俺も誰かが寝ているのを見たよ」


 ……。

 …………。


 顔を見合せた兄達はそのまま全力で外に逃げていった。


……臆病者である。


大人になった兄たちは半分笑い話のつもりで言う。


「自分の勘違いかなぁって思っていたことがね。他の人とも意見が一致した瞬間にね。見えてはいけないモノを証明してしまったかのような不気味さがあってね。……あの時は怖かったなぁ」


 ……同じ体験をした人が複数いると、『勘違い』では済まなくなるのかもしれない。

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