第6話 暴走
(やばい、美優の目が怖い。早く決めなくちゃ)
俺はそう思い、すぐに目に留まったハンバーガーを注文した。すると、木下さんが問いかけてくる。
「あれ、もう決まったの?」
「うん」
「そ、そっか。じゃあ私もそれでいいや」
木下さんはそう言いながら、隣のレジで同じハンバーガーを注文した。そして、俺たち二人がみんなのもとへ行くと、美優が目で訴えてくる。
(隣に座れってことか)
俺はすぐに美優の隣に座ると、木下さんは俺の隣に座ってきた。すると、足が踏まれた。
(痛って!!)
木下さんの方を向くと、きょとんとした表情をしていたため、美優の方を向く。すると、ムスッとした表情をしていた。
(......)
なぜ足を踏まれなくちゃいけないんだ......。俺がそう思っていると、上野が飲み物を取った。
「じゃあ今日はお疲れ様!!」
「お疲れ様~」
石川さんも続くように言ったため、俺たちも続いた。
その後、軽く雑談をしていると、上野が美優に質問をした。
「二宮さん。秋山とはどうやって友達になったの?」
「私が話しかけたのがきっかけ」
その言葉に上野と石川さんは驚いた表情を見せた。
「秋山さんが上野に......」
「そう」
「なんで、話しかけたの?」
「そ、それは......」
なぜかしおらしい対応を取ったため、みんながなぜか納得をしていた。
「二宮も罪な男だな」
「い、いや。違うよ!!」
美優が俺のことを好きだなんてありえない。ただ、家政婦として雇ったからだ。そ、そうだよな??
その時、木下さんが言う。
「私も二宮くんのことをもっと知りたいな~」
それを聞いた瞬間、美優の目からハイライトがなくなった。
(あ、やばい)
俺がそう思った時には遅かった。隣から小声で声が聞こえる。
「ゆうくんは私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの私のもの。私さえいればいいもんね? そうだよね? うんそうに決まっている」
(え、怖!! それに俺は美優のものじゃないよね??)
美優の方を向くと、上野たちが言う。
「あ、秋山さん?」
三人には聞こえていなかったのか、不安そうな表情で美優のことを見ていた。
「な、なんでもないよ。それよりもご飯を食べよ」
「そ、そうだな」
俺も同調するかのようにハンバーガーを食べ始めた。
この時の俺は、木下さんがどのような人なのか知りもしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます