家政婦に学年一の美少女が来たのですが、ヤンデレだったようです。

煙雨

第1話 高校入学と同時にヤンデレヒロインと半同棲を始めました

「ねぇ、あの子と何を話していたの?」


 高校入学をしてから、一週間程が経った日、ハイライトの無い目をしている秋山美優から言われた。



 高校入学と同時に一人暮らしを始めた俺---二宮優輝は、両親の意向により家政婦を雇うこととなった。


「はぁ、これじゃあ一人暮らしじゃないよ」


 ため息をつきながらそう呟いた。だが、すぐに首を横に振った。


「まあまずは高校入学初日なんだし、楽しも!!」


 俺は朝食を食べ終えて、高校へと向かった。そして、校舎の入り口にたどり着くと、ひと気は目を引く女性が居た。

 身長は160cm無いぐらいで、黒髪ロングで胸がでかく、スタイルの良いと言うのが第一印象であった。


(可愛い......)


 百人の男性に聞いたら、百人が可愛いと言うほど。


(同級生かな?)


 俺はそう思いながらも自身のクラスに行く。

 黒板で自身の名前を探して、椅子に座ると、隣の席に座っている男子が話しかけてくる。


「俺、上野蒼って言うんだ。よろしく」

「二宮優輝。よろしくな」


 その後、二人で軽い雑談をしていると、続々とクラスメイトが入ってくる。そして、校舎の入り口で見かけた女性も入ってきた。


 俺はその女性のことを無意識のうちに見てしまっていた。すると、上野くんが言う。


「秋山もこの学校だったのか」

「秋山さん?」

「そうそう。お前が見ていたやつ」

「......」


(秋山さんって言うのか)


「まあ分かるぜ。中学の入学式の時も、クラス中の男子が秋山のことを見ていたしな」

「へ~」


(やっぱりみんな思うことは一緒なんだな)


 そう思っていると、上野くんが俺の肩を叩いてくる。


「でも、好きになったらだめだぞ?」

「え?」

「あいつは誰に対しても冷たい。中学時代、告白されても断ることしかしなくて、氷の天使と言われていたんだから」

「へ、へぇ」


 まあ、俺と秋山さんが話すことなんてないと思うし、好きになることなんてないと思うけど。


 その後も、秋山さんの噂を聞いていると目が合う。

 内心ドキッとしていると、秋山さんは驚いた表情をしていた。


(なんだ、あの表情は?)


 俺はすぐさま視線を逸らすと、クラス担任が教室に入ってきた。


「今日からこのクラスで担任をする斎藤だ。よろしく」


 挨拶をした後、斎藤先生が今日の予定を伝える。


 最初は体育館に行って全校集会。その後、必要な書類を渡されて、明後日から授業が開始されるとのこと。


 まずは体育館に行き、校長からの挨拶を聞く。


(中学の時もそうだったけど、眠くなるよな)


 そう思いながらも、校長の話が終わり、教室へと戻って行った。そして、斎藤先生から必要事項と資料を渡された後、高校初日が終わった。


「今から遊びに行かないか?」


(遊びたい!!)


 だけど、これから家政婦さんと会う予定があるしな。


「ごめん、今日はこれから予定が入っているんだ」

「そっか。じゃあまた明日!!」

「あぁ」


 上野くんと別れた後、俺も家へ帰った。


 部屋の清掃をしてソファーに座る。


(もうそろそろだよな)


 腕時計の時間を見ると、家政婦さんが来る時間が迫っていた。


(どんな人なんだろう?)


 できれば、話しやすい人が良いな。歳も近ければ......。そう思っていると、インターホンが鳴る。


 俺はすぐさま玄関に赴き、扉を開ける。


(え?)


 俺は目の前に立っている女性を知っていた。それは、学校で目が惹かれた秋山さん。


(なんで、こんなところに?)


「本日から家政婦する秋山美優です。よろしくお願いします」

「......」


(秋山さんが家政婦!?)


 呆然と秋山さんのことを見ていると、少し顔を赤らめながら言われる。


「えっと。ゆう..二宮くん。中に入れてもらってもよろしいでしょうか?」

「ど、どうぞ」


 俺は部屋の中に案内する。


(家族以外で初めて入れる人がクラスメイトって......)


 秋山さんには椅子に座ってもらい、お茶を出す。


「ゆう..二宮くん。私の業務を伝えるね」

「えっと。それよりも前に一つ聞いてもいい?」

「うん」

「本当に秋山さんが家政婦なの?」


 はっきり言って、目の前に秋山さんがいても信じられなかった。だが、そんなことお構いなしに秋山さんが答える。


「そうだよ」

「そ、そっか」

「それで業務だけど、毎日朝食と夕食は共にして、部屋の掃除とかもするね」

「え?」


(毎日食事を一緒にする?)


「聞こえなかった?」

「いや、そう言うわけじゃなくて」

「なら大丈夫だね」

「う、うん」


 勢いに負けて、何も反論することが出来なかった。


「じゃあ、今からご飯作るねって言いたいけど、それよりも前に一つだけ」


 秋山さんの目からハイライトが消え、ビニール袋を出した。


(何をするんだ?)


 すると、秋山さんは部屋においてあるフィギュアをビニール袋の中に入れていった。


「え、何をしているの?」

「捨てるんだよ?」

「は?」

「だって、今日から私がいるんだから、フィギュアなんていらないよね?」


 ここから秋山さんがヤンデレであるということを知るのはそう遠い話ではなかった。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

初めてのラブコメということもあり、拙いところもありますが、楽しく読んでいただけたら幸いです。


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