もしも次があるのなら、独善的な主人公モブを辞めて今度は君に愛を伝えない

アスター

第1話 後悔している25歳 クリスマスツリーを見る次いでに婚約者の幼馴染に遭遇する

現在25歳を越えようとしている俺は昔を思い出す。


俺の学園生活は後悔と黒歴史という言葉で片付く。


自分勝手な都合で大切な幼馴染であるモモを傷つけた高校二年の夏、放課後にラノベ主人公みたいなアイツに告白するモモを見て一人勝手に打ちひしがれて、あいつに夜の玄関先で 「なんであんなヤツなんか、俺の方がお前を幸せに出来る」と言って彼女を困らせ、怒らせ、傷つけた。今でもあの時のモモの表情は忘れられない。


自分でも今思えばとても傲慢でワガママだったなと感じる。


今更口にするのも恥ずかしい事なんだけど、他の学園の美少女達まで惚れさせるアイツを見て嫉妬していたんだと思う


学校二階の窓から一緒にゴミ出しでアイツに話しかけてる時の幼馴染の表情を見て、嫉妬したんだと思う。


まぁあの後俺はモモとなんとなく疎遠になりクラスでアイツと付き合ってるなんていう噂が耳に入り、道端で会わないのはおそらくデートに行っていたからなんだろうと今では推測する。


さて、回想にふけてないで仕事に集中しよ、このままじゃ残業しちゃう☆




はい、見事にフラグを回収をして残業しましたーwwwww


時計の針が二十二時を周り会社から出て、明日有給だからと一人遠回りをして帰るクリスマスイブ。


恋人という恋人が居なく、付き合ってもすぐ別れてしまう。それも、いまだに幼馴染のことが好きなんだろうな、意外と女々しいな俺とか考えながらあたり一面を見ながら恋人達が集う場所でクリスマスツリーを見る。



「綺麗だな」



すっかり口癖になった独り言を呟き、視界の端に映るカップルになんとなく目が止まってそのまま顔を向ける。すると


「!!ッなんで!?」


慌てて内心やべって思いながら木の隅に隠れる。幸い向こうには気づかれていない


そう、視線の先にはなんと幼馴染とアイツが手を繋ぎながらツリーを見ていた。指先にはちゃんと指輪をはめて。


「わぁ〜見てみてください蒼くん!綺麗…」


「そうだな、めちゃくちゃ綺麗だ」


そう言いながらアイツは幸せそうな幼馴染の顔をみている、そして


「ッ!?蒼くん…」


手を頬に添えて、ゆっくり自分の顔を近づける。やがて距離はゼロになっていき


「……ふはぁ…もう!びっくりするでしょ!」


「ごめんごめん笑…続きは家でな?」


そう言われ顔を真っ赤にする幼馴染。そんな君をみて俺は「あぁ…」と、なんとも言えない感情になっていた。


あんな大胆に外でチューするやつがおるか?え?しかも家でどうたらこうたらって…


うがぁー!!となる俺の気持ち。いやそもそもアイツら結婚してるんだし俺がそういう感情になるのおかしいし…


なんで?と心の奥底では思う。勉強や運動だって俺は努力してできるようになったし、気遣いも自分なりにしてきて、顔は自分が言うのもアレだけどイケメンな方だし、それでもアイツと何が違うってんだッッ!


…こういう独善的な所なんだろうな。


それに、アイツは自分のより他人に目を向けて優しくしてた。いつも自分の事ばかりで他人を気遣うようでできてなかった俺とは全然違う…と、今では思う。まぁ気づいてからじゃ全然遅かったんだけどな笑


俺は一人自嘲気味に、勝手に悲しくなりツリーに背をむけ後にする。


「ッッくそ…くそ…」


なんでか分からない涙が溢れ出てきて、止まることを知らない。自分が泣く資格も無いくせに。



道端で歩いてる人の視線を感じながら、なんとか家まで着く。


家には当然誰もおらず冷え切っており急いでエアコンをつけ誤魔化すように、紛らわせるようにテレビをつけ、今は食べる気力がないのでソファーに横になる。


「…あぁ…青春時代、やり直してぇなぁ」


そんな現実逃避を思い浮かべる。だがどうしたって今生きてるのは現実で、時間が戻るなんてこと普通あり得ない。



そう普通なら



まぶたが重くなってそのままソファーに仰向けになりながら身を任せ、やがて段々と意識を眠りの底に着く寸前で思う。



「もしもあの頃に戻れるなら、自己中心的な考え方を辞めて、調子に乗るのを辞めて、彼女にあんな顔させないように、平穏に普通に生きるのに」


彼女の思い出の一片を汚した後悔と共に、今度は完全に眠りについた。



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