第一話 本屋
俺は殺し屋だ。
ヒットマン、暗殺者、掃除屋、仕事人、呼び方は何でもいい。
俺の名前も、どうでもいい。まあ、ここだけの話だから誰にも言わないでくれ。俺の名前は無いんだ。組織の中ではそれで通している。
俺はある組織に属している。巨大な組織だ。俺はその組織の指令に従って殺し屋を狙う。そう、俺は「殺し屋の殺し屋」だ。
ちょうど今、本部から指令メールが届いた。今回のターゲットは……。
『本屋七階 出歯亀』
なんじゃ、こりゃ。
よほど緊急の案件なのか、普段使っている暗号とは違う文面だ。これは、いったいどういう事だ……。
俺は暫く考えて、隣で遠くのミニスカ女の方に鼻を向けて臭いを嗅いでいる相棒の犬に言った。
「ひろし、仕事だ。貰ってこい」
首輪からリードを外すと、ひろしは駆けていった。
その後、俺は近くの本屋を探した。
七階は専門書のフロアで、この時間は客がまばらだ。俺はその階で客を一人ずつ見て回った。
書架の間に一人だけしか居ない通路を見つけた。前歯が出た小柄な男だ。俺はそいつに凄んだ。
「向こうに行け。怪我をするぞ」
男は怯え顔で去っていった。俺が振り返ったその時、アイスピックを握った手が突き出された。俺はその手を掴み、近くの棚から取った本の角でそいつの後頭部に一撃を加えた。相手が床に突っ伏すと、目撃者がいないことを確認してから、そいつの上に本棚を引き倒した。その女は無数の分厚い本と本棚に圧し潰された。
この女は、さっきのミニスカ女だ。 ここまで俺をつけてこられたということは、この女は殺し屋だろう。
「
つけられていたので、先にひろしに取りに行かせたのだが、ちゃんと着いているやら……。
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