たまに来る街

@kyabetu_kun

第1話

久々にこの街に来た。


たまに夢で見る街。街全体が色とりどりのネオンカラーに輝いたかと思えば、パステルカラーの輝きに変わる。




雨が降ったかと思えば、曇る。晴れることは無い。


建物が空から生えている。地面も建物も全てガラス張りだ。


建物は増えては減り、消えては現れる。


気がついたら歩いている。建物の中を歩いていると思ったら、いつの間にか外を歩いている。




目的があることをふと思い出した。この角を曲がると、小さな店がある。全てが不確定なこの街で、この店だけはしっかりと存在している。




中に入ると、初老の男性がいた。


何かを読んでいて、こちらに目を向けることは無い。


僕はここで鍵を買わなければいけない。理由は分からないが、必ずそう思う。


最後まで顔をあげずに男性は接客してくれた。




外に出ると、大きめの熊が焚き火をしていた。


獲れたての鮭を焼いている。座ることを勧められたので、近くに座って火を見つめる。




「この鍵って何に使うんでしょうか」


そう尋ねたところで、いつも目が覚める。

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