巨大怪獣エンドデスアースは笑えない

あニキ

第1話 巨大怪獣エンドデスアース

 時は2999年……

 かつて、1000年前には偉大なる預言者のお告げ本が流行り地球滅亡が囁かれた。

 子供は恐怖し布団に蹲り、滅亡を信じて生きているうちに金を使ってしまおうと散財するものもいた……そんな地球の終わりを囁かれた前世紀末……その年はビックリする程、何も起こらなかった。ちょっとPCがバグったくらいである。


 そして歴史は繰り返し10世紀後……時は世紀末。

 今度こそ地球は滅びるのでは無いかと実しやかにに囁かれた。正直、ここ1000年くらいはやれ地球環境だ、資源の枯渇だ疫病だ天変地異だと滅亡は何度も囁かれたのだが、一向に滅びる気配の無い屈強な地球さんに人々も安心しきっていた……

 が、今度こそ滅びの時は来た。


 繰り返す環境汚染、繰り返す未知のウィルスや生物の進化……屈強な地球もビックリの生物達が続々と誕生し、進化してしまったのだ。


『緊急警報! 緊急警報! 巨大怪獣エンドデスアースが発見されました! 直ちに避難して下さい!』


「うわーーーー!!!! 終わりだーーー! 死にたくないーー!」

「ママーーー! ママーーー!!!」

「ああ……神よ……どうしてこんな事に……」


 ビルの隙間から現れる巨大な影……巨大怪獣エンドデスアース。

 一体いつ、何の為に生まれたのかは誰にも分からない。巨大な体躯におぞましく焼けるような赤い眼……口からは破壊光線と酸を噴出し、ヌメヌメと光る表皮はミサイルすらも跳ね除けて動じない。

 この怪獣こそが……1000年の時を経て今度こそ地球を終わらせる存在だと、誰しもが確信した。

だが、地球に棲む人間達だってただ滅びの時を見守るだけでは終われなかった……長い歴史が作り上げた科学力……幼き頃に動画や復刻映画で見たあの怪獣との決戦を夢見た少年達は密かにこの日を待っていたと言っても過言では無い。

 ついに、闘う時が来たのだと……立ち上がり総力を結集して怪獣に挑んだ。


 ……全ては……この世紀を生き残り、新たな未来へと進む為に……



★★★



 どーも、私よ。


 私が誰かって……? さっきから丁寧に説明してくれてんじゃない……


 そう、私は巨大怪獣エンドデスアース。


 いや、私が名乗った訳じゃ無いのよ。だって怪獣でしょ。

最初に発見した奴が勝手に付けたのよ……地球が終わり死ぬ! みたいなノリで。エンドデスアースってさぁ……もっとゴロ良く出来なかったの……?


 巨大怪獣エンドデスアースとか呼ばれている私は、毎回毎回人間に見つかっては騒がれて謎の攻撃を食らっている。こちとら100メートルを越す巨体なのでウッカリ顔を出すと勝手に騒がれるのでたまったものではない……。

 かと言って両生類でもえら呼吸でもなくれっきとした皮膚呼吸の陸上生物なのでずっと海の中に隠れている訳にもいかない。

 いつもは山でおとなしく身を潜めていたんだけど、森林伐採で勝手に入ってきたやつ等が勝手に発見してこの有様である。おかげで逃げに逃げた結果街中まで来てしまったわ……大惨事なのよ。


 こちらも特に破壊活動の趣味は無いのだけど……何故ならね、ビル破壊すんじゃん? 壊れた瓦礫踏むじゃん? 地味に痛いのよ。

 何か表皮はミサイルをも跳ね除けるとか言ってンじゃん? あれね、表面がツルツルヌルヌルしているだけだから。あと、効かないとか言われてるけどミサイルも地味に痛いからね?


「エンドデスアースに向かって砲撃開始!! 撃てー!!!」


 とか言って弾幕がね、私の顔に来る。顔は止めとけよ、コラ。

効きはしないんだけどさ、効かなくて細々した礫を顔に浴びせられる心境考えたことある? 目が開けられんのよ……あ、駄目、くしゃみ出る……


「ギャ……ギャオーーーース!!!!!!」


 私の口から放たれる破壊光線に弾幕を撃ち込んでいた戦闘機がいくつも塵と化す。あ、ゴメン、いや、いまの不可抗力じゃん。

 あー、酸の汁も垂れて街中大変な事になってんじゃん……だから言ったでしょー? 止めとけって。

 あー……駄目だ、一度これね、酸汁出ちゃうとくしゃみ止まらないんだわ。


「ギャオーーーーー!!!!! ギャオーーーーー!!!!!」


 私がくしゃみする度に放たれる破壊光線は近隣の建物を粉々に打ち砕いていった。ああああ……瓦礫が沢山……これ帰り道……へっくっし!!! あー、駄目だこりゃ。

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