ホワイトデー・クライシス

姫路 りしゅう

第1話 ゲーム企画

 何も思いつかない。


 ホワイトデーのお返しが、なあああんにも、思いつかない。


 恋人へのホワイトデーのお返しってチョコでいいの? マカロン? それともネックレスとか?

 僕は三月に入ったあたりからしばらく悩み続けて、結局何も思いつかなかった。

 ホワイトデーはバレンタインみたいにセオリーが確立されていない行事だ。

 しかも今年のバレンタインデーは、彼女がめちゃくちゃ気合を入れてくれたので、下手に誤魔化すこともできない。

 今日は三月十三日。ホワイトデーの前日。

 アイデアはゼロ。用意物もゼロ。

 僕の彼女はゲームが好きなので、オリジナルゲームでも作って楽しんでもらおうかと、三月頭の時点では緩く考えていたけれど、いよいよそんな悠長なことも言っていられない。


 まさしく、危機クライシス的状況だ。


 僕はとりあえず――――『ホワイトデー お返し なに』と検索エンジンに打ち込んだ。

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