装備を売り払う
町に帰還。空はまだ明るい。
「食堂に行く前に、薬屋に寄って調合を依頼したい」
薬屋に向かい、店主に調合を依頼する。依頼したのはデバフをかける薬を数種類と、状態異常にする薬を数種類。
支払いのために財布を開いてハッとする――金が無い。魔力袋を落札する際に全財産を使ってしまった。限界まで借金をしたばかり。借りられるあては無い。
今すぐ現金を手に入れるには――
魔力袋は寝巻きしか身につけていない。となると、
「魔力袋は、薬が出来上がるまでここで待っていて」
行き着いた先は、防具屋の前。
「装備、全部脱いで」
「雪降ってるし……ここ、外だよ?」
雪が降る寒空の下。人通りは多い。こんな場所で脱げば、注目を集める。それは承知の上。それでも他の選択肢が無い――。
「魔力袋は何も装備してないけど、文句言ってた?」
「いいえ……言っていません」
「君は言うの?」
「いいえ。言いません」
「それも」
ブーツを指差す。
「何の効果も無い、ただの靴ですよ?」
効果なんて関係ない。現金化出来るものは、全て売らないと足りない。
「魔力袋は履いてないよ?」
そんなことはわかっている。が、俺はブーツを指差し、即興オークションを始める。注意されたら終了、短時間で済ませなければならない。
「美女の脱ぎたてブーツ! 欲しい方は希望額をどうぞ!」
人だかりを構成している人々は、たった今ここで
入札する層は、この靴に防具としての価値を求めていない。競り合いの結果、当面の食事には困らない程の高値で落札された。
まだ注意されていない。眼前に客が居るのに、靴だけで終えるのは惜しい――
「続いては今履いている靴下! 脱がす権利付き!」
競争率が高く、靴の五倍の金額で落札された。
査定中。外から
「殴られ屋を始めます。私をダウンさせたら、今私が着用しているもの、全て差し上げます。制限時間は三分。彼が店から出てきたら終了です……では、参加費を入札してください」
窓越しに
数分後、査定が終了した。
店を出ると、
「お待たせ」
薬屋に向かう道中、無意識に歩幅が大きくなる。きっと
魔王城からこんにちわ はゆ @33hayuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔王城からこんにちわの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。