微笑みの先

カキピー

第1話 変化

 日本某日、日本政府が国民全員に指令を出した。

「これから皆さんに選択肢を与えます」

この発言から一拍置いてこう発せられた。

「今から死ぬか。夜の外出を一切禁じられるか」

 この言葉に訳の分からない者、嘲笑う者、友達、あるいは家族と話し合う者。人々が戸惑いや嘲笑を見せた。そして、政府は続いて、

「今、日本はある怪物によって、侵略されようとしています。詳しいことはまだわかっていませんが、今わかっている情報だと、ヤツは微笑みながら、襲ってくる。また、夜にだけ行動するということしか判明していません。そこで、今、日中にこの判断を任せます。死ぬものは極力自殺はせず、ヤツに襲われながら死んでください。少しでも、私たちの情報材料になっていただきたい。惨いことを言っているのは承知の上だが、ヤツを対処しない限り、日本は終わると考えていただきたい。それでは」

 といった、内容が報道され、国民は、慌てて家に帰る者、遊びだと思いふざけて外に残ろうとするモノ、何も聞けなかったモノ。様々な行動をとる人がいる。

 「………アㇵっ」

 ヤツは獲物は逃がさない。逃げられない。ただ、殺され、意識がなくなるのを待つのみ。どうすることもできない。誰一人として。

 次の日、政府が調査を行ったところ、前日の夜で、10万人いなくなったという情報が入った。というのも、子供からの連絡が繋がらない、親と連絡がつかない。行方不明。ヤツが原因とは限らないが、これだけ国民がいなくなってしまった。

 後悔しても遅い、政府の言うことを信じなかった。親の言うことを信じなかった。自分勝手な行動が招いた結果だ。自業自得としか言いようがない。10万人の人が指令を守れなかった。それだけだ。

 ヤツは無作為に人を殺すわけではない。ただ、夜に外にいる人だけだ。それ以外何もわからない。 

 今回のことで、本当に死ぬと思った国民は少なくはないだろう。ここから、国民は夜に一歩も外に出なくなってしまった。

 日本は変わってしまった。ヤツによって。なにもすることはできない。ただ、夜はヤツによって支配されてしまった。日常が壊されていく中。今日人々は怯えながら、朝日を迎えることを願いながら眠るのであった。

「………………」

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微笑みの先 カキピー @kakipisan

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