34.「きっと来る……」
「ヒヒッ……ところで、
ニコラスの眼鏡がキラリと光る。
それだけで、言いたいことが伝わった。……この先、この館には避けて通れない試練が待ち受けている。
「……ヒロイン……いや、『
「ご名答。彼女は近いうちに訪れるよ。『怪異』の自覚もないままにねぇ」
「ホーンテッド・ナイトメア」の
彼女は「怪異を取り込んで成長する怪異」だ。……けれど、本人にその自覚はない。
普段はごく普通の少女の
そうやって「
「彼女が来るまでに館を改革できれば、未来も変わるはず」
わたしの方針は変わらない。
世界観ごと作り替えて、笑いの絶えない明るい館に変えてしまえば、新入りもそれにつられてくれる……気が、する。
「そうだね。今のメンバーだけなら、何やかんやで上手くいきそうだ」
「でしょ!? 案外、どうにかなりそうかなって……」
「それはどうかな?」
わたしの言葉を
「ヒヒッ、彼女は本人も無自覚なまま、ここに『
「そ、それは……まあ、
「なるほど? 具体的には?」
「えーと……周りに合わせる『怪異』なんだから、周りがコメディになれば彼女も自然とそうなるんじゃないかなって……。ほら、ト〇とジェ〇ーとか、喰う側と喰われる側だけど、平和だし……」
「…………」
そこで、ニコラスは顔を押さえて黙り込んだ。
えっ、な……何?
「ヒ……、ヒヒヒヒヒッ」
……よく見ると、小刻みに肩を震わせて笑っている。
そのままニコラスは上機嫌に手を叩き、わたしを指差した。
「サイコーだね、キミ! よし、それ採用!」
何だか不本意な気もするけれど、他でもない「神」が乗り気になってくれるのはすっごく心強い。
「あ、別に失敗してくれてもいいんだよ。その方が面白いしね! ヒヒヒッ」
……うーん、やっぱり不安かな!!
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