28.「ダメージを受けたら服が脱げる仕様だったんですか???」

「そ、そういえば! アルバートとエドマンドはどうなったの!?」


 ニコラスがここにいるってことは、戦闘はもう終わったってことでいいのかな。

 たぶんだけど、エドマンドは騎士としてアルバートのナンパ(?)を見過ごせなかったんだと思うし、一応、お礼は言っておいた方が良いよね。


「あー、なんか盛り上がっちゃってたから、逃げてきたんだよね。ヒヒッ」


 そっかぁ、盛り上がっちゃったかぁー。


「アルバート、自分が痛めつけられるのも好きだし、他人の苦悶くもんも好きだからねぇ……エドマンドと戦闘になるともう大興奮なんだよ」


 そういやそうだった。

 アルバートはヤバいやつだけど、人の心がないわけじゃない。他人に共感するからこそ、他人の苦痛や自分の罪悪感でも盛り上がれる……うん、人の心があってもなくても、ヤバいやつなのは間違いないね。


「……何なら俺、止めるッスよ」


 ゴードンが心強いことを言ってくれる。

 イマイチ勝てるビジョンが……という言葉は、口に出さずに飲み込んだ。


「……分かった。二人で止めに行こう 」


 二人で力を合わせたら、どうにかなるよね。……たぶん。


「ヒヒッ、行ってらっしゃい!」


 ニコラスはヒラヒラと手を振り、ニヤつきながら透明化する。安全圏から見守ろうって魂胆こんたんかな。

 このやろう……。


 


 ***




「い、行くよ」

「分かりやした……!」

 

 ゴードンと目配めくばせし合い、広間の扉を開ける。

 途端に濃い霧がぶわっと広がり、視界を覆い隠した。


「……エドマンド! アルバート! そろそろ──」


 落ち着いて。そう、言おうとして、何も言えなくなった。

 眼前の霧が晴れる。その向こうに現れたのは……


「キャーーーーーーー!?」


 思わず悲鳴を上げ、目を覆い隠してしまう。


「お、お嬢! 気を確かに!」


 傍らで、ゴードンの焦った声が聞こえる。

 気を確かに? こんな……こんな光景、平気でいられるわけないじゃん! 刺激が強すぎる……!


 イケメンが

 二人揃って

 全裸なんて……!!!!


「う……ぐ……っ」

「さぁ……どうだい? 僕の攻撃で、鎧は中の被服もろとも砕け散った。もう……君を守るものは布一つ存在しない」 


 地面に伏せったエドマンドを見下ろし、優雅に佇むアルバート。

 すみませんアルバートさん、エドマンドが裸にかれた理由は分かったんですけど、なんであんたまで脱いでるんですかね? なんで全裸で恍惚こうこつと微笑んでるんですか???


 エドマンドの筋肉質な裸体とアルバートの細身の裸体は、どちらも傷痕や火傷の痕でズタボロとはいえ、芸術品のように美しい。

 それはそうと、絵面がヤバい。これ完全にPixerbのやつじゃん。前世さくらのTmitter仲間の「粉雪@エドマンドの鎧になりたい」さんが墓に入っちゃうやつじゃん!!! 何なら「アルバート♡食べて♡」こと黒沼(※正式なハンドルネーム)さんも「アァ……………………」とか言って砂になっちゃう!!!


「まだだ……まだ、復讐は……為されていない……!」

「やめろ! もう良い! 立つなエドマンド! 大事なモン失くすぞ!!!!」


 まだ戦おうと、地に伏した身体を無理やり動かそうとするエドマンドに向け、ゴードンが必死に叫ぶ。


 ……何これ?

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