至近の光

ゆうさん

第1話 愛という名の虐待

高校2年生の夏。まだ、陽が沈み切きらず青空が残っており皆が部活や友人との下校を楽しんでいる頃、私岩戸天乃いわとあまのは最小限の勉強道具しかない自室に籠っていた。だが、不登校というわけでも引きこもりというわけでもない。学校が終わり次第、友達と帰ることも寄り道することもなく、まっすぐ家に帰ってきてから部屋から出てないのだ。

 

私も本当は友達とおしゃべりしたり、寄り道したりしたい。でも、そうしてないのは親に原因がある。私は両親から虐待を受けている。だが、虐待と言っても私に対して暴力をふるったり暴言を吐いたりするわけではない。両親はとにかく私を外の世界に関わらせようとしない。両親は私に3つのルールを設けた。

1.一人での外出禁止 外出する際には両親のどちらかが同行しないといけない

2.門限は夕方4時半 親が納得できる理由がない限り延長不可 延長が必要な場合、1か月前までに申請すること

3.親が認めた人物以外の交友関係禁止

私の親はこれらのルールを設け、違反した場合には1週間登校禁止され食事とトイレ以外の部屋から外出が禁止された。両親は私のことが大好きだから、人間関係で嫌な思いをしてほしくないからとこのルールを設けたという。正直、何度も家出を考えた。監禁と等しい生活を何年も続けており、早く自由になりたかったが、今の私が家出をしたところで一人で生活することはできないし、警察に保護されて家に連れ戻されるのがオチだろう。

だが、家を出ていくのを諦めたわけではない。もうこんな生活はごめんだ。両親がしている事は愛という名を免罪符にした虐待と同義なのだから。

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