第10話:アディ視点
おい、冗談だろ?
あいつが……セシリアが聖女候補だと!?
あのチビでちんちくりんの泣き虫が……聖女?
いや、あいつは不思議と勘がよかった。それにやたらを怪我の治りも早かったし。
何より――
俺があいつを見つけたのも、何かに呼ばれた気がして……。
あそこで死なれちゃ困るから、どこぞの神が俺を呼んだのか?
「いやいや、まだただの候補だ。候補ってだけなら、ある程度魔力がありゃいいだけだろ」
そのぐらいなら、何百何千といる。
だが好都合だ。
神殿は警備も厳しい。その辺のアサシン程度じゃ、侵入は出来ない。
逆に言や、それでもあいつに近づける奴は腕が立つアサシンってことになる。
ターゲットが神殿に入ったことで、ギルドが依頼を破棄するか、依頼主の方が諦めるかしてくれりゃいいんだが。
「ふっ。それにしてもあいつの義理の妹か? 年齢はあいつと変わらないってのに、よくもまぁあんだけの男と関係を持ったもんだな」
何も知らずに集まったぼんぼんどもも、まさか隣の奴と同じもんを共有していたとは思ってなかったんだろう。
あれは見物だったな。
ま、セシリアの方は案の定だったが。
だいたいあんなちんちくりんの小娘に欲情する野郎なんて……。
いや、いたな。
貧民街じゃあいつ、常に変態野郎どもから狙われてやがったし。
俺がいったいどれだけ苦労して、そいつらを追い払ってたか……知らねぇだろうな、あいつは。
あいつ……少しはいい女になってんじゃねえか。
まぁガキだった頃も、見てくれはよかったけどな。
「あの神官どもの肩掛けの模様は、豊穣の女神のものだったか?」
とにかく神聖国に行くしかねえな。
ったく、あいつは魔法で楽々移動しやがって。
ギルドがどっちの判断をするか分からねえが、急がねえと。
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