777番地

口羽龍

777番地

 桂子(けいこ)は宗之(むねゆき)と共に東京にやって来た。2人は新婚夫婦だ。夢を持ってこの東京にやって来た。これからどんな事が起こるんだろう。どんな出会いが待っているんだろう。これからの生活を楽しみにしていた。


 そんな2人の新居は都心から少し外れた場所にある古い民家だ。そこは777番地にある。安いうえに、スリーセブンという事もあって、ここがいいと思った。


 2人はその新居の前にやって来た。新居は少し古いけど、なかなかいい場所だ。ここが2人の新しい愛の巣と考えると、気持ちが高ぶってくる。


「今日からここが新居か」


 2人とも幸せそうだ。これからここで永遠の愛を築いていこう。


「これからが楽しみだね」

「ああ」


 2人は新居に入った。中は掃除が整っていないようで、ほこりだらけだ。だが、掃除をすればなんとかなりそうだ。


「古いけど、きれいにして新しい生活に備えよう」

「そうだね」


 2人は家の中を掃除し始めた。ほこりが信じられないほど舞い上がるけど、これも最初の内だ。今後は毎日掃除をすればそんなにほこりが舞わないだろう。


 その頃、周りの住民が怪しい目で見ていた。この家には、まるで何か秘密があるようだ。


 約数時間後、2人は掃除を終え、ゆったりとしていた。きれいになった新居。これからここでどんな愛の日々を送ろう。


「ふー、掃除が終わった」

「でも、誰がここを使ってたんだろう。気になるな」


 2人は天井を見上げている。最後に誰かが住んでいたのは、いつ頃だろう。どんな生活を送っていたんだろう。




 翌日、宗之は仕事に出かけていった。新居には桂子がいるだけだ。部屋はとても静かだ。これから子供が産まれて、子供を育てるようになると、幼稚園に行くまでは昼間でも賑やかになるんだろうか?


「さて、買い物でもしてくるか」


 桂子は買い物をしてくる事にした。この近くにはスーパーマーケットがある。食料はここで買っておこう。


 桂子はスーパーマーケットまでの道のりを歩いていた。この辺りは細い路地で、車が行き違いできない狭さだ。人通りは少ない。とても静かな路地だ。


 と、桂子は誰かが後ろにいるのに気づいた。桂子は振り向いた。だが、誰もいない。桂子は首をかしげた。


「あれっ!?」


 桂子は再び歩き出した。なんだか怪しいな。この辺りには何かがあるんだろうか?


「おかしいな・・・」


 桂子は少しずつ不安になってきた。この家には何かがあるんだろうか? 人々が怪しい目で見ている。


 桂子は怪しいと思いつつも、スーパーマーケットに向かった。気が付けば、スーパーマーケットまであと少しだ。今夜は何にしよう。カレーにしようか?




 その夜、桂子はカレーを作っていた。引っ越して最初の出勤だ。今日は奮発してカレーにしようと思った。きっと宗之も喜んでくれるだろう。


 突然、インターホンが鳴った。宗之が帰ってきたようだ。桂子は嬉しそうな表情でコンロを止め、玄関に向かった。


「ただいまー」


 入ってきたのは宗之だ。宗之は嬉しそうだ。


「おかえりなさい」

「あー疲れた」


 宗之は肩を落としている。今日も疲れたようだ。


「どうだった?」

「ガオー!」


 桂子は驚いた。だが、宗之は普通のような態度を見せている。声が怪獣のようになっているのに。どういう事だろう。


「ど、どうしたの?」


 桂子は首をかしげた。どうして怪獣のような声を出したんだろう。錯覚だろうか?


「い、いや、何でもないよ」

「おかしいの・・・」


 桂子はため息をついた。それでも宗之は普通のように思っている。宗之は怪獣のような声を出したのに気づいていないようだ。




 その夜、桂子は夢を見た。それは、この家でおかしな事に見舞われる夢だ。今夜だけではない。ここ最近こればかりだ。


「うーん、うーん・・・」


 突然、目の前に女が現れた。女は血まみれで、桂子を見つめている。桂子に因縁があるようだ。だが、桂子は誰かわからない。


 女は桂子に向かって包丁を突き刺した。桂子の腹から血が流れる。あまりにも恐ろしい夢だ。


「ギャー!」


 桂子は目を覚ました。そこには宗之がいる。宗之はすでに起きているようだ。


「えっ?」


 桂子は呆然としていた。夢だと確信して、ほっとした。こんな事、現実であってほしくない。もっと宗之と過ごしたいのに。


「どうした、桂子」

「あなた、この家、引っ越そうよ」


 だが、宗之は考え込んでしまう。何かを企んでいるような表情だ。何を企んでいるんだろう。桂子は疑問に思った。


「だけど・・・」

「どうしたの?」


 桂子はその理由が知りたかった。こんな不気味な家、引っ越そう。別の家の方が幸せに慣れそうだし。


「せっかく引っ越した家なんだから、ここにいようよ」

「うーん。そ、そうだね」


 結局、引っ越しの計画は白紙になった。しばらくここで暮らそう。だが、いつまでいられるんだろう。不安だな。


 宗之は部屋を出て行った。その後姿を、桂子は見ている。苦しい時は一緒に乗り越えよう。だって夫婦だもん。


「疲れたな、二度寝しよう」


 桂子は再び寝ようとした。だが、振り向くとあの女がいた。まさか、本当に出るとは。死にたくない。誰か助けて。だけど、誰もそこにいない。


「えっ、誰?」


 女は血の付いた包丁を出した。一瞬の出来事で、桂子は何もできなかった。女はあっという間に桂子の腹を刺し、続いてあらゆる所を刺した。


「キャー!」


 桂子は程なくして亡くなった。こんな事で亡くなるなんて。宗之に申し訳ないと言いたい。


 その声に反応して、宗之はやって来た。誰かに操られていたようだが、正気を取り戻した。今まで自分は何をしていたんだろう。玄関から先の記憶がない。


 宗之もおかしいと感じていた。ここから引っ越そうと考えていた。なのに、操られていて、何もいう事ができなかった。


「あれ?」


 宗之は部屋を開けた。すると、桂子が血を流して倒れている。まさか、桂子がこんな事になるとは。早く引っ越しておけばよかった。


「け、桂子!」


 宗之は桂子をゆすった。だが、桂子は反応しない。もう死んでいるようだ。まさか、こんな事になるとは。


「し、死んでる・・・。ん?」


 と、宗之は誰かが後ろにいるのに気づいた。そこには血まみれの女がいる。まさか、この女が殺したんだろうか?


「う、うわー!」


 宗之は桂子と同じように腹などあらゆる所を刺された。こうして、1組のカップルが777番地の家で変死した。


 後でわかった事だが、この家では昔、殺人事件があって、殺された夫婦の幽霊が出る、ここに住んだら殺されると言われていたそうだ。これだけ安い物件だったのは、このためだったという。

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