ショートショートマーチ
ひなせ むー
風
甘い香りのオレンジが僕の鼻を突き抜ける。
それは茶色の列車が駆け抜けたから。
その列車は遠くへ行ってしまったかと思ったけど、
僕の所へ戻ってきて止まった。
そして、人がひょこりと出てくる。
「やあやあやあ、少年乗っていくかい、こいつに」
ちょっとおかしなぐらいに細長のっぽのおじさんは手をぶんぶんふって僕をのせてくれた。
「切符はいいのおじさん?」
「もう君はもってるよ、ここに」
僕の胸を指さす。
「それとわたしはしゃしょうだよ」
といった。
そしてしゃしょうさんは僕をのせてちゃいろのれっしゃはいった。
高く高くどこまでも高くあがっていきオレンジ色の空が近くなっていくきがする。
「きょうは風がきもちいいな、おれんじとちょこれーとのにおいがよくまざる」
この列車にはおれんじが沢山のっていて、その匂いが列車のちょこれーとのにおいがまざりあったんだって思った。
「しゃしょうさん、この列車はどこへいくの」
「きみはどこへいきたい? そこへいこうじゃないか」
「じゃあ、どこまでも! どこまでも走っていたい!」
「いきさきを決めなくていいのかい?」
「うん」
「わかった」
こうして列車はどこまでも行く。
あまいあまいチョコレートとすっぱいかんきつのにおいをはこぶかぜとなって。
ショートショートマーチ ひなせ むー @owaranaiyume
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