アンラッキーな7人
石嶋ユウ
アンラッキーな7人
気づいたら俺は荒波の中を彷徨う船の中にいた。俺の目の前には六人の男女。俺たちが囲んでいる机には一枚のメッセージカード。そこには「君たちにはこれから大きな不幸が起きる」とだけ書かれている。
「大きな不幸って何?」
「そんなの知らないわよ」
「そもそもあなたたちは誰?」
そこで、各々自己紹介をすることになった。すると、俺も含めた七人は割と打ち解けることができた。
「それにしても俺たちは一体どこにいるんだ?」
「この船、ただ浮かんでるだけみたい。誰か、操縦できる?」
「なら私が」
そう言って、この七人の中で一番年上の男が船の舵を握り、計器類を動かし始めた。だが、
「あれ……」
「どうしたんですか?」
「動かない」
「え?」
なんてことだ。これじゃあ陸地に帰れないじゃないか。
「無線は?」
「それもダメだ」
「じゃあ、どうしたら……」
「うわああ!」
すると、若い男が外に飛び出してしまった。
「おい、危ないぞ!」
直後、若い男に雷が落ちた。彼は一瞬にして燃えた。火はさらに船の甲板に引火した。
「ぎゃあ!」
若い女が叫んで倒れた。すると、甲板や船底に穴が開き、彼女は穴から海に落ちていった。
「嘘だろ」
怯える俺たち五人。悲運は続く。
「うわああああ!」
突然船が波によって大きく揺れた。すると五人の中で一番背の高かった女が揺れの衝撃で海へと落ちた。
「おいおいまじか……」
四人の中で一番背の低い男が怯えている。その時だった。なぜか巨大サメが海の中から波の勢いで甲板に飛び込んできた。
「ぎゃあああ」
サメの一番近くにいた彼が食われ始める。サメと彼は激しい揺れによって海へと投げ出された。彼も助からないだろう。
「おい、もう三人だけだぞ」
「どうするの!」
「どうにもできないだろ!」
「バカ! どうしたら良いか考えなさいよ!」
カップルの二人が慌てている。船はもうボロボロだ。俺もこのカップルも助からないだろう。本当にどうすれば良い。
窓の外から海を眺め、打開策を考えているうちに、二人の声がしなくなった。足元を見ると二人とも倒れていた。二人の胸にはそれぞれナイフが刺さっている。どうやら二人で殺し合ってしまったようだ。なぜこうなるのか全く理解できない。
残るは俺一人。俺もどうやら助からないみたいだった。船が沈み始めている。
全く、この船に集められたのは、なんてアンラッキーな七人だったんだ。
アンラッキーな7人 石嶋ユウ @Yu_Ishizima
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