第48話



刻突天掌こくとつてんしょう改」



 フィルは何も反応出来ずに壁まで吹っ飛ばされる。



「兄さん?何したの?助けに来てくれたの?」


 フィルはいまだに何されたのかが分からない。兄さんが今になって助けに来てくれたのかとでもまだ思っている。


「兄さん、、ダックスさんと先輩が、」


「知ってるよ、お前がダックスを殺したって事は俺の相棒を殺しやがって、、許さねえ」


 そう言って、リューニス=フリート(兄)がフィル=フリート(弟)に向かい攻撃の体制を構える。その兄さんの目はいつもとは明らかに違って、何かに洗脳されているかのようだ。


「こんなのおかしいよ。どうして俺を殺そうとするんだ。俺は言われた事を……」


 

 「こんな仲間を見捨てるような人間の言葉に耳を貸してはいけない、こいつは仲間を平気で見捨てる人間のクズだ。君の1番嫌いな人種だ。排除するんだ、」


 リューの頭の中に言葉が聞こえる。


「悪だ、目の前いるのは悪だ、殺さなくては」


 ブツブツと呟き攻撃を仕掛ける。

 その攻撃には一切の隙がなく、フィルの付け入る隙など全く無い。流石は英雄ヒーローランクの人間なだけはある。それにフィルは未だに人間に攻撃を繰り出す事ができず、バリアで攻撃を防ぐ防戦一方でバリアが割れるのも時間の問題だ。


「兄さん。間違ってるよこんな事、」


 フィルはなんとかリューを正気に戻そうとするも、そう戻る気配はなくさらにフィルに対しての敵対心が強くなったかのように見える。


「兄さん、、駄目だよ戻って来て明るくて優しい兄さんに」


「………………っ」


 駄目だ反応がない。

 フィルの言葉は届いているのか、攻撃の構えをやめる。


「兄さん。よかった、、」


「発勁」


 リューが元に戻ってくれたと安心しきってしまった、フィルは迂闊に近付いてしまう。

 そしてその大きな隙をしっかり狙われてしまい。さらに傷を負う。


 横腹を抑え、震えながら、、、


「そんなの俺の兄さんじゃない、俺の憧れてた兄さんではない!何なんだよ、あんたは誰なんだ?」


 フィルは違和感を感じていた。兄さんは特段、技を連発するような人では無く、僅かな隙を寸分の狂いのなく一撃に懸けるような人だ。

 違う人だと言い切ったフィルはこの場がどうでも良くなった。




 そして、フィルは目覚めた。




 リューの瞬き一瞬で懐に入り込むとそのまま

「誰だお前?」


 と聞く。

 しかしその質問に答える事なく、流石はフィルの兄と言ったところか、分かっていたかのように軽々しく受け流す。

 質問に答えないリューにフィルは何度も何度も詰め寄って、誰だ答えろと問い続ける。


「おい、早く答えろ 次答えなかったら確実に殺す。」


 ポータル内での震える情けないフィルはどこへ行ったのやら、今のフィルはまさに血に飢えた戦闘狂の目をしているのだ。

 その言葉を聞きさっきとは打って変わって大幅に距離を取る。

 するとフィルは戦闘狂の目は消えいつものフィルに戻っていた。


「、、、俺はリューニス=フリート。」


 やはりフィルの兄だ。

 しかしフィルはそんな言葉を信じようとはしない。

 明らかに違う。戦い方も性格も何もかもが異なってる。


「違う。あなたは俺の兄さんじゃ、、、」


「違わねえよ、俺がそう言ってんだろうが人殺しのクズ人間が!」


「人殺し、、、そうか、分かったよあなたは兄さんだけど兄さんじゃない。俺の憧れた兄さんはいなくなったんだ。

 もういい、じゃあ────お前を殺してもいいって事じゃねえか」



 「警告。全能の目アースアイに異常発生。強力なスキルを獲得します。受け取りますか? YES or YES」


 この瞬間、フィルは全能の目アースアイが覚醒し、人間では無くなってしまう。



スキル紹介


全能の目アースアイEXエクストラ



効果

 全属性に対してある一定の攻撃を無効化。


 周りの魔力吸収(仲間も敵も全て含まれる)


 物理の攻撃全てを無効化


 受けた攻撃分の魔力増加


 闇の属性を獲得する。


デバフ

 全ての能力値を大幅上昇する代わりに知能が強制的に0になり、自我を失う。

 自我を失い、破壊衝動に駆られる。


 

発動条件は不明

 

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