第37話

 「俺はお前と同じでリューに命を救われてる。俺はリューを信頼してるし、相棒だと思っている。」


 ダックスさんは俺とは全く違う。


 俺は何も出来ずただ助けられただけで自分は何も返せてない。でも、ダックスさんは兄さんと一緒に任務で活躍をしている。まだ俺には覚悟が足りていない。自分の為でなく大事な人の為に動く覚悟が、


「ありがとうございます。なんか、俺、分かったかもしないです」


「そうかじゃあな」


 と言って俺は家に帰る。ダックスさんは会社の自室に住んでいるらしい。

 家についたら兄さんが料理を作って待っていた。


「ご飯食べるぞ。風呂入ってこい」


「はーい」


 ─────風呂後。


 兄さんと二人で夜ご飯を食べる。今日の話は昨日の任務の話で持ちきりだ。


「それでボスはフィルが倒したのか。初めてなのに良くやったな。ハイオークはBランクでも高い方のモンスターなのにな」


 まだ俺はランクの計測をしていなかったが、フィルがリューの想像を超えるランクであることは知らない。



 翌日は先輩に超越仮想世界での特訓に誘われた。

俺は当然OKだ。昼から2〜3時間位やるらしい。今回はいつもよりハードなポータルを想定して行う予定だそうだ気を引き締めなければ、


「来たなフィル!」


 会社に着くと腕を組んで堂々と立ってる先輩がいた。本当はロンとマーレンも誘ったんだが、案の定断られたんだそう。ランと特訓すると予定通りに終わらないから嫌だからだと聞く。


「よし!始めるぞ」


 転送が開始される。今回はいつものBランク上位のモンスターではなく、Aランクポータルを想定としたモンスターを召喚すると言った。


 まあ、前回の初任務のポータルボスがAランククラスのモンスターだからだろう。俺に難易度を合わせてくれていたのだが、もうそんな事はしないのだそう。


 「特訓を開始します。」


 ブゥン



 「うわ、」


 俺は目の前に召喚されるモンスターに圧倒される。一体倒すのに苦労したハイオークが雑魚モンスターのようにゴロゴロと出てくる。

 さらに、見た事ないモンスターが数体いる。


まずはランが前衛で攻撃をする。それに俺は魔法で援護をする。

 俺のする事はシンプルであり、簡単だ。でも重要だ。


任務の時のハイオークに比べれば装甲が薄くて倒しやすくはあるものの見た事ないモンスターが俺の攻撃をカードしやがる。そのおかげでランの仕事はしやすくなってる。


「おりゃぁ」


 ランと俺の連携で順調ハイオークを撃破するも、よく分からないモンスターには一度も攻撃を捉えられていない。


「あれは何ですか?」


「あれか? あのモンスターは小石像レアゴーレムだ防御力だけで言えあSランクにも勝る程なんだが、攻撃意思が全くない所謂雑魚モンスターだ。」


 話を聞いて俺は安心する。俺の攻撃を難なく防ぐから俺の実力はA程度なのかと思ってしまっていたが、あいつはただの壁モンスターだったのか、


 「じゃあどうやって倒すんですか?」


「基本的に倒さなくてもいい。倒すなら剣とか魔力を最小限に抑える事だな」


 俺はこいつを倒せないんじゃ、と思った。

 しかしこいつの狙いは自身が敵を排除するのではなく魔力を使用させ、魔力切れを起こさせる事が本当の狙いなのだそう。

 実際にランは任務の時、レアゴーレムと戦った事があるらしい。その時にランはレアゴーレムの性質を知らずに、全員が魔力を使い過ぎて、危うく全滅寸前だったのだそう。

 しかし俺の魔力は底が知らない。それを分かっていて、性能を言わなかったのだろう。


 と言われて二人はレアゴーレムを無視して終える。


  「これで終わりか?」


と俺が思ったその時にランが、



 

「エンジニアSランクポータルボスを召喚してくれ!」


「は?」


 Sランク?しかもボスモンスターだと、まだAランクボスと戦った事もないのにいきなり飛んでSと殺るとは、俺も少しビビってる。




ブゥン


 そこに現れたのは一体のケルベロスが現れる。

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