第20話
俺は対戦が終わると誰にも話しかけられないようコソコソと建物から脱出した。
数人は俺のことを待っていたようだが、俺はそいつらと話す事なんてない。
俺は走って家に帰ろうとした。が、ここから家に帰る道が分からない。ここに来る時は常にポータルで移動していたからだ。
仕方なく俺は建物の中に入る。今度はしっかりカードを持っているため開いた。もうその時には、さっきまでいた人達はその場所にはおらず、どこにいるのか分からなかった。
俺にとっては好都合ですぐに俺は家に帰る事ができた。
「ただいまー」
俺はポータルから出ると開口一番元気に家に着いたことを伝える。
「おう、遅かったな、取り敢えず手を洗ってから部屋に入って来い。」
俺は手洗いをしっかりとして、母さんにも挨拶をしっかりとして、ソファーに横たわる。
「貰ってきたよ証明書ライセンスこれで俺も兄さんの仲間だ。もちろん兄さんのとこのクランに入るよう」
もちろんだ。その為に俺はあいつと戦ったんだ。
いや、それだけではない。あの勝負はどこのクランに入るかなんてどうでも良かったんだ。俺は、あの勝負で自分の存在を肯定したくてした事なんだ。
「そのクランに入る話なんだが、ちょっと話があるんだ」
「えっ、」
俺は急に不安になる。いつもこの雰囲気で話があると言われる時はいいことではない事が多いから、俺はかなり不安だった。
「何?話って」
「クランのことなんだが、」
「ゴクッ」
「正式に入る事が許可されましたあ」
いつも男らしい兄さんにしてはいつになく無邪気な感じに話していたが、なんとも悲しい話じゃなくて良かったことに一安心だ。
「良かったあ じゃあ俺もこの世界について一つ聞いてもいい?」
「勿論だ」
「超越仮想世界メタスペースって何?」
俺は未だにわかっていないあの空間について何か知っていることはないかと質問をする。
「メタスペースのことか、あれは仮想世界というだけあって現実世界ではない。それくらいは分かるな、」
俺は首を縦に振る。
それを確認してまた話し始める。
「あの世界は実際の自分を仮想世界に転移させるんだ。」
「転移?」
「ああ。実際には転移した者のレプリカを作り出して、本人の感覚をそのレプリカに転移させたと言う事が正しい説明なんだが、」
「???」
俺は首を傾げる。
「まあ分からないよな、そんなに深く考えなくていい。少なくともあの空間で自分本体にダメージは入らないから特訓し続けられるってイメージでいいよ。」
「ってかなんでメタスペースを知ってんだ?」
「いや、今日そんな話を案内の人に言われてさ、全く理解できなかったから、話しやすい兄さんに聞いただけだよ」
「そうなのか、」
と至極真っ当なことを聞かれて少し戸惑うものの素早く俺は嘘をついて乗り切った?
「俺のクラン入隊の歓迎会だ。もう皆んなも待ってくれてる早く行くぞ。」
俺には休む暇などないのかよと思いつつも新天地への期待も、持って嬉しそうに兄さんについて行く。
───────完。
超越仮想世界メタスペースについての分かりやすいかも? 解説
メタスペースでは認証された人のコピーを創り、そのコピーを仮想世界に転送させるという事。
コピーは本体のスペックと完全に一致される。
攻撃性能は機動力など
VRと違う所は、本体には一切のダメージは無いが、実際に痛みを感じる。が、直ぐに回復をする為、戦い続けることも可能。 注意)頭部の回復は遅め。
今回使用したのは戦闘場バトルフィールドと言われるスペースだが、他にも訓練場など様々な空間を作り出すことが出来る。
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