第14話
一方その頃、俺はひどく落ち込んで家に着いた。
「早かったなどうだったか?」
「計測不可だって俺、才能無いのかな、」
「ま、まじかよ」
兄さんは俺の結果にひどく驚いていた。
「何で、そんなにおかしいの測定ができないって、」
俺は兄さんにも失望されたような目をされて、心が折れそうになっていた。
「いやいや違げーよ、計測不可ってのは、その装置じゃ測れねぇってことだ。つまりはお前は才能の塊何だよ。やっぱその目を持つ者は凄いんだな、」
兄さんは俺の両肩を掴んで前後に揺らして来た。そんなにも俺は凄い存在なのか、ってか俺の目って何かおかしいのか、と思いふと鏡を見ると、もともと青かった目に少しだけ緑色にグラデーションされていた。
「うわっ」
俺は驚いて兄さんにこの目について聞いてみた。
そしたら兄さんが語り始める。
「俺もそれは聞いた話なんだがな、その目は全能の目アースアイと呼ばれていて、この世で一人しか持つことの許されない、神から授けられた唯一の才能と言われる。
だけど、全能の目を授けられた人間は決まって、生まれてから、何一つ恵まれなかった人間が、そんな環境を変えたいと願う時に神から与えられると言われている。でも、うちは別に生まれた時は母さんも生きてたし、裕福な方だ。なぜお前が全能の目を授けられたのかは分からん。」
「俺には才能があったのか、それにしても全能の目アースアイ、決まって恵まれない人間か、」
俺には心当たりがある、それは前世での俺だ。
前世では俺は奴隷として10年間生きて来た。生まれ変わったら、楽な人生を送りたいとでも思いながら死んだんだっけな、だとしたら神は俺を見捨てなかったってことになる。でも俺は来世では鳥みたく、飛ぶだけでいい生活を望んだんだけどな。
「そうそう、お前の二つ隣の部屋があるだろ、あそこは昔に父さんがこの会社を立ち上げるために読んでた本がたくさん置かれてある。そこに、全能の目について何かあるかもしれないから見てみればいいよ。」
俺は気になりすぎて、直ぐにその部屋に向かった。
ドアには鍵がかかっていた。そんなのはお構いなしに俺は破壊魔法を駆使し上手にドアを壊した。
「ボソッ」
兄さんが何か言っている。
この部屋の本棚には二つの種類に分けられていた。
一つは、会社経営のために必要な知識についての本
もう一つは、クローシスのメゾットの本があった。
クローシスの方の本棚を漁っていると、魔術の強化魔法や魔力コアの増加の方法など俺にとって興味のあるものが多かった。
しかし、あくまで俺の目的は全能の目についてだ、今日は取り敢えずそれを知りたい。
「見つけた、」
本棚の後ろの奥の方に薄い小さな本を見つけた。
「全能の目所持者の人生」
何とも俺の探してた物と完全に一致するものを見つけた。
本を開いてみると、兄さんの言った通り二人の人間について書かれていた。
「アーサー・ブレイク 18世紀を代表する能力者 ブレイク家は身分が低く、資本家に支配されていたが、6歳の時戦争に狩り出されると、瞬く間に武功をあげ、一人でブレイク家を救った。 14歳の時、戦闘中に急病にかかり、敵に撃たれて亡くなる。」
「セイバー・クローシス 16世紀に誕生した始まりの能力者 トラスト都市の英雄。 生まれながらに難病を患っていたが、奇跡的に完治、その後15歳になってからは数々の戦争で勝ち続け、トラスト区に平穏を取り戻した。 23歳戦争中に病気により亡くなる。」
二人とも見事に世界に多大な影響を与えていた。
しかし読んでいて、一つの疑問がある。
「二人とも病気?」
そう。二人ともに自分の役割を果たしたかのように、早めに亡くなっていると言うことだ。
「俺もこんな早く死ぬのかよ、」
俺は震え上がってしまった。
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