第13話


 「頼もーう」

 と勢いよく入ろうとして、俺はドアを押そうとする。

が、ドアが思うように開かない。


???「何やってんだあいつあのドアは押しドアじゃないぞ?馬鹿なのか?」


「は?えっ」

 俺は誰かに見られている気がして周りを見回すが、俺を見ていそうな奴はいない。

 今回も入るのにはカードが必要なのかと入るのを諦めかけた、 

 上を見ると監視カメラと横に紙が貼ってあり、何かが書かれていた。

「このドアを「引いて」開けてください。開けた者のみがこの中に入ることができます。」

 引き戸だった。

 横には監視カメラもあった。やはり誰かに見られている予感はあっていたのだろう。

 

 「やっぱり誰かに押して開けようとしてるの見られてたのか、俺を馬鹿にしてるな、今見てるお前ら!よーく見とけよこれがフィル=フリートの伝説の始まりじゃあぁぁぁ」


「バン!!!」


 俺はドアを勢いよく開けた。一見開けるのが大変そうに見えたが、見かけ倒しだ、

 少し奥に進み、エントランスみたいな所に着き、そこには受付嬢が二人いた。二人ともとても美しい。見惚れてると、一人の受付の女性が、話しかけて来た。


「どうしたの、受付かな?」

 

「あっあっ」

 俺は見えてない奴には強気だが、いざ誰かと面と向かって話すとなると、俺はほぼ人と話してなかったから、緊張して思うように声が出ない。


「ここのドアを開けれるくらいなんだから、そうよね登録はあちらです。」

 優しい受付嬢だった。

 俺は言われるがままに案内された道を行くと、小さな人一人が入れるくらいの小さな箱の前に数人が並んでいた。


「こちらで並んでいてください。」


「はっはひ」

噛んでしまった。俺はまだ会話が苦手なのかもしれない。


「強者たる者、人との会話なんぞに挫けてたまるか!」

 心の中の俺はめちゃくちゃ強気だ。


 次は俺の番だ。前の人たちは箱から出て来てはしょんぼりしながら、EXIT《出口》から出て行った。


 「次の人」

 俺の番だ。

「はひ!」

 またもや噛んだ。そんなことは気にせずに、箱の中に入る。


「魔力計測中、魔力計測中、魔力計測中、」


「長いな、故障か、」

外の検査官の人達が機械の故障を疑い、ザワザワし始めている。


 「機械の故障?」

 そんな声が聞こえて俺は不安になってしまった。

そこにさらに、俺の不安を煽る出来事が起きた。


「ピーピー、エラー、エラー、計測不可」

 計測不可?そんなに俺はダメな奴だったのか、兄さんに魔術の才能があると言われて、俺も特訓してるうちにそんな気がして来たのに、俺には才能がなかったのか?

 

 俺は落ち込んで箱から出ようとするが、箱が開かない、

「故障かよ、俺の時に限って、ふざけんなよ」

 いい加減に開かないことに痺れを切らした俺が、その場で魔術を使った。


 「バァン」

 俺の魔法は魔力計測装置の箱を容易に壊してしまった。

それを見ている検査官は俺に怯えながら、EXITの方を指差した。


「お、お帰りください。合否は後、後日お伝えさせていただきます、」

 前の人とは違う対応に少し気になったが、俺は大人しく建物を後にした。


ーー検査官らーー


「こ、怖かったぁぁ」

一人の男が崩れ落ちる。


 どうしたんですか先輩、計測不可の奴になんかに怯えて、先輩らしくないですね。


 「身の程知らずが、これだから新入りは、」

後ろから声が聞こえる。


 「何だと!」

新入りの奴が、後ろを振り向くと、男の顔が青ざめる。


「ハハハハ、無知は罪だなぁ」


「申し訳ありません、ラインハートさん」


ラインハート22歳 ランク 英雄ヒーロー


「計測不可ってのはな魔力がないって事じゃなくてな、この装置では計測出来ねぇくらいの魔力の持ち主ってことだ。

 つまりは怪物クラスってことだ、お前助かったな」


「あっ、あああ」

 若い男が驚きで気絶してしまった。


ラインハートと検査官の先輩二人が、

「あいつはやばいな、」


「ああ、やばすぎる」


「あんな奴が世界を変えるんだろうな」


 俺の持つ能力に気づいている人間も少なからずいる様だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る