第7話

俺はトイレを済ませた。

めちゃくちゃ腹が痛かったが、あまり待たせ過ぎるとキレるかもしれないと思い死ぬほど腹痛を我慢し急いで部屋に戻った。

 

 戻っているとまだ兄ちゃんは部屋から一歩も動いていなかった。

でもトイレを行く前に比べたら、下を向いておらず、前を向き腕を組んで堂々としていた。


「戻ってきたよ」


 と伝えたところ、振り向いて「よしじゃあ行くか、母さんのいるところに」


「えっ」

 もう母さんは死んでるんじゃ無いのか?

 今から行ったところで何も出来ないのに、謎だ。しかも、亡くなっている母さんの姿なんか見たく無いのに、

でも、俺には兄さんについて行く以外の選択肢が無く、


「わ、分かった」

 とあっさり了承してしまった。

もう少し、自分の意思を伝える事が出来たら良いのにとは頭の中にあったが実際に行動に移すのが一番難しい。


 母さんのいる場所は家からそう遠く無い場所だった。

先程までは外は大雨だったが今は雨はポツポツと小雨くらいまで止んでいた。


 家の外に出ると兄がこっちだと言わんばかりに先導する。


「亡くなった人を見る、ましてやそれが俺たちにとって大切な人だから見るのは少し、いやかなり辛いとは思う、が、これも経験だから。」


   「「いやどんな経験だよ」」

 とシンプルに疑問だった。でもこんな事を聞く必要はない、そんなことくらいは自分でも分かる。


「経験?どう言う事?」

 聞いてしまった。


「今は深く考えなくていい、生きてりゃ分かる」

 何とも曖昧な返答だった。

 やはり聞く必要は無かった。


「もうここを曲がったら母さんがいる。俺は先に行く、お前も心の準備ができたら来い。」

 と先に曲がって行った。


 そう言われて少し行くか戸惑っていたら、人間を喰らいに来たであろうモンスターが、ものすごい勢いで俺に急接近してきた。


 逃げようとするが、思うように足が動かない、

 ここで死を覚悟した。

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