不幸になりたい男
おかお
本編
今日から7は不幸の数字だ、という
絶対に失敗したくなかった。だから本当は、7月7日を告白の日に選びたかった(存在するなら7月77日でも77月77日でも良かった。むしろそれならイケたかもしれない)が、それではクラスが替わって、彼女との距離が離れてしまう可能性があった。時間に猶予は無かった。
「友達としてしか見られないかな。これからも帰りにご飯食べに行ったりはしようね」
そんなのってない。告白が今後の人生のいかなる選択にも影響しないよう降るまえ、ということだ。僕はヘラヘラ笑ってその場を立ち去った。彼女がいないことが確定している男子トイレの個室でめちゃくちゃに泣いた。都市伝説になってもおかしくない位泣いた。
そして僕は7を不幸の数字にすることに決めた。個室の鍵を開けてすぐの決心だ。
思い立ったが吉日、スクラッチを1枚だけ買って帰る。
宝くじが当たる確率は、自分が北海道にいるとして、1円玉を上空から落とした時に自分の頭に当たる確率と同じだ。つまりほとんど当たらない。スクラッチもそう変わらないだろう。このスクラッチを外すことで、7を不幸の数字にしよう……!
当たった。1円玉は僕の頭に落ちてきた。高いところから落ちてきたから、軽いとはいえ強い衝撃が頭に走る。軽い脳震盪だ。『1等200万』。僕の通帳に入っている全員金額の20倍だ。
こんなの当たってしまったら、今後の僕の人生に良い影響を及ぼすわけがない。僕は真面目に働くことの意味を今見失ってしまった。これは『アンラッキー』だ。そうに違いない。
次に7をアンラッキーにするために、2000円をゲームに課金する。そしてガチャをやる。0.005%のURを求めて。ガチャは11連しかできない。当たるわけがない。
結果としては、当たった。1発目で出た。2000円はちゃんと価値があった。
どうしても7を不幸の数字にすることができない。僕は7に恋されているのかもしれない。
不幸になりたい男 おかお @okao
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