第32話 いすずとご褒美⑵
プラネタリウムの鑑賞が終わった。
いすずと青の2人が建物から出てきた。
「すごくよかったですね! 私、感動しちゃいました」
「それは、よかった! まぁ、あたしは寝てたけど……」
「青ちゃん、ずっと寝ていましたね」
「えへへ、心地よくてつい」
いすずは楽しかったのか、少し興奮しているようだった。
楽しんでもらえて良かった! 青は寝てたけど!!
青に心の中で感謝をしつつ、2人の後を追った。
「たしか、次に行くのはあそこだな」
次に2人が訪れたのは近くにあるオシャレなカフェだった。なんでも、プラネタリウムの近くにあるということで、プラネタリウムとのコラボスイーツが食べられる店らしい。
「楽しみだね!」
「はい! どんなスイーツがあるんでしょう」
「(コラボスイーツか、どんなのがあるんだろう)」
甘党の俺もワクワクしていた。甘党だから、しょうがない。
2人がカフェに入ったのを確認して、俺もカフェに入った。
ちなみにカフェに入ったら、またまた怪しい目で見られた。だから、なんで??
不思議に思いつつ、席に座る。俺は2人から離れた席に座り、メニューを見た。
メニューにはたくさんの可愛らしいケーキの写真が載っていて、めちゃくちゃ美味しそうだ。
「(バレないように注文しよう)」
俺はこっそり店員さんを呼ぶと、いくつかのケーキを注文した。
注文したあと、2人を見ると2人は楽しそうに何かを話しているようだった。
「(楽しそうで、なによりだ!)」
それからしばらくして、頼んでいたものがきた。
2人も頼んだものが来たようで、いすずは星が散りばめられたケーキを、青は青いプリンを食べているようだ。
あれもめちゃくちゃ美味しそうだな、また来ようかな。
俺はそう決意すると、頼んだケーキを食べた。
「んっめっちゃ美味い!」
頼んだケーキはめちゃくちゃ美味くて、手が止まらなくなりそうだった。
「(まだ時間に余裕があるし、他のケーキも頼んじゃお!)」
それから1時間後、2人は楽しく談笑をした後店を出た。
「(うっ食べ過ぎてしまった)」
俺はお腹をさすりながら、2人の後を追う。少し食べ過ぎてしまったようで、追いかけるのが大変だった。
「ケーキ美味しかったです!」
「たしかに、少し貰ったけどいすずちゃんのケーキ美味しかったね!」
「青ちゃんのプリンも、美味しかったですよ」
2人はカフェの感想を言いながら、駅前に戻っていった。そして、駅前にあるバス停の前で止まる。
「青ちゃん」
「ん?」
「これから、どこにいくんですか?」
「ふふん、これからのお楽しみ!」
「えー、気になります!」
2人の近くで待ちながら、バスを待つ。
しばらくして、バスが到着した。
2人がバスに乗り込むと、俺もバスに乗った。2人から離れた場所に座り、顔を伏せる。
バレないようにしないとな。
バスに揺られながら、しばらくバスは進み……40分経った頃だろうか。いつのまにか外の景色は人口的な景色から自然な景色に変わっていった。
「ずいぶん上の方に来ましたね」
「ふふっ、そうだね」
「青ちゃん楽しそうですね。何を隠しているんですか?」
「ひ、み、つ!」
「もぅ」
「(おっ、いすずも気になっているみたいだな。よし、よし)」
早くいすずの表情が見たいものだ。
それからバスはさらに進み、ようやく目的地に着いた。
目的地は山にある公園だった。春になると桜が咲く有名なスポットだったりする。公園にはちらほら人がいるくらいで、桜のシーズンほど混んではいなかった。
「ほら、いすずちゃん。行こう」
「わっ青ちゃん待ってください!!」
ウキウキの青が、公園に入った瞬間に走り出す。それを追ういすず。
「たくっ青のやつ、走りやがって」
さらにそれを追う俺。必死に青たちを追い、気がつけば公園の上まで来ていた。
公園の上には展望台があり、山の上から俺たちの住んでいる場所を見ることができた。
ちなみにここを提案したのは俺だった。前にここに来た時、景色がすごく綺麗だったから提案してみたのだ。
「うわぁ、すごくきれいです!」
いすずの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「へへっいすずちゃんをここに連れてきたかったんだ」
「そうだったんですね!」
「どう、気に入ってくれた?」
「はい! とっても気に入りました」
いすずがそういってくれて、俺はとても安心した。少しでも、気に入ってくれたら……そして、リラックスしてくれたら今日の作戦は成功だ。
作戦としては、ここで終わりとなっていた。あとは、帰るだけになっていた。
「青ちゃんに聞きたかったんですが、どうして今日いろいろな場所に連れて行ってくれたんですか?」
「それは、内……」
「お兄ちゃんでしょ?」
「えっ」
「お兄ちゃんに頼まれたんですよね、青ちゃん」
「(なっ!?)」
いすずの言葉に、きっと青は驚いていることだろう。
この計画はいすずに俺が関わっていることは隠していた。のだが、まさかいすずにバレているとは思わなくて、俺は驚いてしまう。
「お兄ちゃん、そこにいるんでしょ?」
「っ!」
俺のいる方向を見たいすずは、ニッコリ微笑んでいた。
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