我ら、アンラッキー7!!

クマ将軍

シャーデンフロイデ

「うわぁん! 取られたぁ!」


 とあるビルの屋上で一人の女性が泣き崩れていた。

 彼女の名前はサオリ。昨日、狙っていた想い人を親友に取られた主人公である。交際していないため寝取られたのではなく、想い人を先に取られたという言葉が正しいか。


「あれだけ応援してるって言ってくれたのにい!」


 長年の友情と恋も全て終わってしまった。

 もう生きていけない。そんな事を思った時。


『あいや待たれよ!』

「な、何奴!?」


 なんと突如として男女七人がサオリの前に現れたのだ!


「一つ! 花屋の店先で並んで色んな花を見ていたら店主から『頭に花がない方はお帰り下さい』と言われた男! アンラッキーレッド!」

「世界に一つだけの罵倒!?」


「二つ! 冤罪で収容され、晴れたら職場と居場所が無くなった男! アンラッキー顔面ブルー!」

「名乗りを上げてる場合じゃないですよ!?」


「三つ! 来るまでに犬の糞と鳥の糞、更には馬糞にも呑まれた男! アンラッキーう○こ色!」

「せめてブラウンって言って!?」


「四つ! 小中高大影が薄く、親にすらたまに存在を忘れられてる男! アンラッキーグリーンバックマン!」

「透過素材の人!?」


「五つ! 婚約してたのに海外から帰って来たら他の女に婚約者を取られてた女! アンラッキー脳内ピンク共をぶっ殺すウーマン!」

「わぁ! 初めて共感できそうな人がきた!」


「六つ! アニメ最終回を録画してたのにアンテナの不調で録画出来てなかった男! アンラッキー録画データブラック!」

「ここに来てクッソしょうもない不幸自慢が来た!?」


『七つ! 風邪を引いたため欠席中』

「プラカード参加!?」


『我ら、アンラッキー7!』

「いや誰!? 誰なの!? 怖いよぉ!」

『ではさらばだ!』

「いや何しに来たの!?」


 まるで嵐のように退散した彼らに呆然する。

 そして。


「……なんか、私の傷心って大した事ないのかも」


 心なしか気持ちが楽になったサオリであった。

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