新米老後生活
みその ちい
第1話 老眼からの前向き思考
カクヨムは読みやすい、と思った。パソコン画面で初めて作品を読んだ。書ける人は沢山いるんだ…すごいなぁ。最近、文庫本が読みにくい。50円で買った古色蒼然とした中古本は5分で終わった。ついにきたか。近眼のおかげ?で仕事はなんとかできていたのに。
バランスボールを買った。ゆらゆらをぐっと押さえて座る。膝が机に当たる。高さが合わないのかもと思いつつ、日記を広げる。おぉ字がはっきりと見える。目から字まで50cm超え、焦点があった。これはいい。姿勢が良くなる。字もみえる。
寝転んで読書。肘をぐっと伸ばして本を掲げる。手は疲れるが、目の疲れはやわらぐ。腕に筋肉もつく、だろうきっと。
なんでもかんでも悪いことばかりではない。そう思いたい。かつての同僚に姿勢の良い美魔女がいた。いつも背筋をピンと伸ばし優雅にパソコンに向かっていた。私も真似をして伸ばすが、忙しくなり間に合わない!となると前傾し丸まってゆく。今は丸くなると字がかすむのだから、自然と背が伸びる。これはいい。
間に合わない!恐怖は、物心がついたときからずっとあった気がする。トイレが間に合わないから始まって、何をするのも遅い私はいつもいつも焦って…。
もういいんだ。老後生活が始まったのだ。頭がゆっくり廻る、思いがゆっくり沸き起こる、その速度で生きていっていいんだ。これはいい、いいぞぉ。
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