肇のリアル異世界記

第1話 オジサン肇は事故で逝く

朝８時の街中は慌ただしい。

通勤者もいれば通学者もいるし、夜勤明けで家路に向かう者もいる。

もちろん車の往来も多い。中村肇も自身も関わっているプロジェクトの

朝の会議の事を考えながら横断歩道が青に変わるのを待っていた。

クライアントの予算がもう少しあれば無理が減るんだけどな,

このご時世やむを得ずか,,,。

信号が青に変わった事に気づくのが遅れ、周りがいなくなってから慌てて横断する。

その時、肇の後ろを勢いよく小学生の男の子が追い抜いていったとほぼ同時に

まだ信号は青にも関わらず大型トラックがブレーキもせずに交差点に突っ込んできた！運転手は意識がないのか頭が下を向いている。

「あ！危ない！！　」

４０手前の衰えが出始めた体を無理やり動かし、肇はその少年を押し出してトラックとのスペースに自分の身体を預けた。

ドンッ！！と鈍い音が聞こえ、とんでもない衝撃を一瞬だけ感じて肇の意識は真っ暗になった。