七夕になると思いだす俺的七夕の悲劇
Tonny Mandalvic
七夕になると思いだす俺的七夕の悲劇
昔、祖父の家に夏休みになると預けられていたことがある。
祖父の家からラジオ体操に行ったり、公園で遊んだりしていると、一人の女の子と出会った。彼女は周りと離れていたので、地元の子供たちのグループに属している子とは違い、話しやすかった。
そして、昼になると一緒に遊ぶようになった。預けられていた毎日彼女と遊ぶようになっていた。そうして、8月の七夕祭りの振替の日に、それは起こった。
ちなみに北日本では七夕を旧暦で祝うので8月にやることもあることは覚えておけ。
彼女が
「ろうそくだーせ、出せよ」
と言ったので、仏壇からろうそくを渡すと、
「なんでろうそくを渡すの」
と逆切れされろうそくを投げつけられた。
祖父にこのことを話すと、彼女はお菓子が欲しかったらしく、そのためのお菓子の準備をしていたらしい。
そして次の日謝ろうと彼女を探すと、彼女は翌日から学校なので会うことができなかった。
僕は、彼女に謝る機会がないまま、時間が過ぎ高校生となった。
介護だとか何だとか言ってきて強制的に引っ越しをさせられた。まあ、中学までの街には何にもいい思い出がないので別の街の高校に行くことに対して抵抗がなかった。
一人暮らし?めんどいだろ。あと寮にぶち込むって言われたから上下関係が厳しそうなので家から通うほうがましだと思った。
4月7日、まだ桜の咲かない中、僕は高校へと向かう。
まったく誰も僕のことを知らない高校生活というものに胸を膨らませながら、指定された教室の自分に割あたえられた席へと向かう。
クラスメートが続々と入ってくる。
クラスの中にどこか見たことのあるようなというか謝れなかった彼女と同姓同名の奴がいるが、たぶん向こうも俺のことなんか何一つ覚えていないだろうから、基本的に何もしなかった。こっちから謝って何のことって返されるのは困るからな。
3か月が過ぎても彼女とは特に話をしなかった。する理由がないからな。そうこうすると学園祭の準備に取りかかることとなる。
俺は適当にできる班に行くと彼女と同じグループに入れられた。
結局何を話したらいいんだよ。と思いつつ業務に関係のある話以外は話さなかった。
ある日、七夕に彼女が買い出しに行き、皆にジュースを買ってきた。
その際、俺に先にろうそくを渡してきた。
「なんで」と聞くと。
「え、間違えた。」とさりげなくスルーされた。
帰りに、二人になった際に、ろうそくについて再度聞いてみると、彼女は僕の腹にヤクザキックをして帰っていった。
帰り際に僕は
「あの時はごめん。」
というと、彼女は僕に対して何も言わずにうなずいた。
七夕になると思いだす俺的七夕の悲劇 Tonny Mandalvic @Tonny-August3
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