終章 憧れの果て
1 本物VS紛い物
志条八尋にとって、ユーリ・ランベルという少年に対して向けるマイナス的な感情は無い。
寧ろ、本当に感謝している。
今回は相容れなかっただけで、真剣にレイアの事を考えて助けようとしてくれていたのは伝わってくるから。
そこまでレイアの事を考えてくれる人がいるという事実は本当に嬉しくて仕方がないから。
そして自分が殺されるかもしれない状況で、レイアを殺さないでくれた。
レイアを人殺しにもさせないでくれた。
「それが言える奴を人殺しになんてさせてたまるかァッ!」
これから自分を殺そうとする相手にもそんな事を言ってくれた。
……これが本物なのだろうと思う。
本物のヒーローなんだと思う。
それをこの手で殺すのだ。
志条八尋という人間は、その罪を一生掛けて償わなければならないだろう。
そして、ユーリは叫び散らしながら飛びかかってくる。
恐ろしい程の速度。
こちらの最高速の頭一つ上を行かれている。
そうやって正しく認識できる程度の……そんな程度の力しか出せなくなるまでボロボロになってでも、まだ戦ってくれようとしてくれている。
そう、そんな程度の力だ。
「……ッ!?」
振るわれた拳を辛うじてかわし、カウンターを合わせるように右手を伸ばす。
そして……人を殺せるだけの一撃が、炸裂した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます