エアガン無双~元自衛隊特殊部隊出身の俺がゾンビとダンジョンにあふれた世界で女神と結婚して風の力で建国します!~
園業公起
第1話 女神さまと結婚しました!
俺は正しいことをした。
「すまないな、
絶対に間違ってなんていない。
「残念だが、君が行った海外での武力行使はこの国のタブーに触れてしまった。あってはならないはずの自衛官による
俺は正義を成したはずだ。
「政府は他国からの陳情に配慮して君を年金付きの名誉除隊という形で処分することを決定した。体のいい追放だよ。金をくれてやるから大人しくしていろっていう上級国民様と老害どものご配慮ってやつだ」
与えられた使命を果たした。
「最後に何か言っておきたいことはあるかな?」
「俺が守った人たちは、元気でいますか?」
「ああ、元気だよ…ではさようなら」
お天道様は見ているはずだ。いつかきっと報われる日が来る。
『ええ、あなたは必ず報われる。この私の目に留まったのだから…』
って思ってたけど。報われる日なんて全然来なかった。海外派遣の最中、テロリストに制圧された客船を俺が自衛官として一人でテロリストたちと戦い、人質たちを開放した行為は、本国の
「これが正しい行いの報いか…。むなしいでごわすwwww」
草はやすくらいしかマジでやることがない。アニメを見終わって、漫画読んで、ラノベ読んで、フィギュアで萌えて…。地獄の日々である。一応筋トレはしているけどかつての自衛官としての日々と違って使い道がない。こんな生活でも唯一の癒しの時はあった。
「やっぱりHK416は傑作だお。お前以外の相棒なんて…!ご、ごめんよ!MP5KPDWたん!キミも僕の相棒だお!」
かつて自衛官時代に使った銃器のエアガンでお座敷シューティングすること。それだけが俺に生きているっていう実感を与えてくれるのだ。
「はぁ…くそ寂しい…」
そう独り言ちた瞬間、大きな地鳴りと共に部屋が揺れまくった。すごく大きな地震だった。だけど俺は全く動じなかった。これでアパートが潰れて死ぬならそれはそれでもいいかななんてやけっぱちな気持ちでいた。俺は早くこのむなしい時間を終わらせたくて仕方がない。生きているうちにきっと報われることはない。いっそトラックに突っ込んで異世界行っちゃう?なんて思うこともしばしばである。そして地震はおさまってしまった。
「ちっ!死ねなかった!もういい!おやすみぃー!」
俺はベットに潜り込んで即落ちで眠ってしまったのである。
『起きなさい。世界は王を求めてる…』
綺麗な女の声で目を覚ました。かなりの時間眠っていたようで、すっかりお外は朝になっていた。そして窓を開けベランダに出ると。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
空を飛ぶドラゴンの姿が見えた。
「おっと。俺異世界に転生しちゃったかぁ!…あほらしい。寝ぼけてるってことはまだ寝ないとだめってことだよな。おやすみぃ」
俺は再びベットに潜り込む。そして再び眠りについた。
『だからいい加減に起きなさい!!!人民は王を求めているのよ!!早くその声に応えて!!!』
綺麗な女の声で目を覚ました時、俺は部屋の中に何かがいる気配を感じた。
『おぉおおうおおおぉ』
気味の悪いうめき声だった。それが廊下とリビングを隔てるドアの向こうから聞こえた。そして。
『あああぁばああおおおううう!!』
ドアが破壊されて男が一人入ってきた。だけどその様子は尋常ではない。肌の色はまだらな緑色で、その上肉が腐ったような匂いをただ寄せている。そして口元には真っ赤な血がダラダラと垂れていた。
「え?ゾンビ?ゾンビ?うわぁ…きっしょ。つまりまだ夢ってことかな?うおっと!?」
ゾンビ(仮)が俺に襲い掛かってきたので反射的にジャンプして避けた。その時、床に落ちていたフィギュアを踏んずけて、鈍い痛みを覚えた。
「いった?!美少女フィギュアの髪の毛痛い!!マジでいたい!え?夢じゃねぇ?!現実?!ふぁ?!」
ゾンビは鈍い動きで俺を追いかけてさらに襲い掛かってきた。俺はしゃがみこんでゾンビの足首に向かってケリを放つ。
『おおおぉううおお!』
ゾンビの足が折れてその場に倒れた。だけど地面を這ってまだ俺に襲い掛かろうとしていた。
「くそ!気持ち悪い!!」
ぶっちゃけ殴りたくないし蹴りもしたくない。なんか病気とかうつされても嫌だし。俺は壁に飾ってあるHK416を取って構えて、ゾンビに向かって銃口を向ける。セレクターをフルオートにして引き金を引いた。
「ぁああばあああがががが!!」
だぱだぱと鈍い音を響かせながら銃口から放たれたBB弾はゾンビの眼球にめり込んで破裂させた。そしてそのまま脳幹にまで達したのだろう。ゾンビは一度痙攣をした後、一切動かなくなった。
「なにこれ?俺を殺しに来た政府の刺客?はは!ナイスジョーク!」
よくよく考えなくても、空飛ぶドラゴンを見たような記憶もある。何かやべぇ自体が起きているのは間違いない。
「何やってんだよ。ここは埼玉の田舎町だぞ。ハリウッドじゃねぇんだくそ!」
だけど直感が囁いた。これは緊急事態だ。俺はすぐに普段着の上からチェストリグと各種ポーチのついたベルトを巻いて、一番丈夫な靴を履いた。そして愛用のHK416のエアガンを構えながら部屋の外に出た。
「うっ?!血の匂い?!」
共用部の廊下に出るとそこには夥しい血の跡があった。そしてさらに二匹のゾンビがいた。
「ちっ!鬱陶しい!」
俺はゾンビの目玉を狙って、引き金を引いた。するとゾンビの目玉は破裂して倒れる。もう一匹のゾンビも同じようにして倒した。
「ふーん。肉が腐ってるからBB弾でもぶっ殺せるわけね。まあそんなことどうでもいい。情報収集だ」
俺はHK416を構えながら階段を下りて道路に出る。周囲には血の匂いや肉の腐ったゾンビの匂いがしている。だけどそれだけじゃない。
「おおぅ?え?まじ?」
『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAWEEEWUUUUUUUUUIIIIIIIIIII!!!』
目の前にいたのはナイフを持った赤い小鬼ような生き物だった。どう見てもゴブリンです。とりあえず俺はゴブリンをエアガンで撃ってみた。
『GYA?!gyaaaa!!』
ゴブリンの肌に青黒いあざができた。だけどそれはすぐに消えてしまう。どうやら一瞬で回復しているようだ。それどころか鼻息を荒くして俺をメッチャ睨んでいる。ゴブリンはナイフを振り上げながら俺の方に迫ってくる。
「うわ。おっかねー。でも人型なんだよな。なら多分通じる」
俺はもともと海上自衛隊にいたいわゆる水兵さんである。これでも特別警備隊という特殊部隊に所属していたのだ。対対人闘訓練はさんざんやった。実際に戦闘でテロリストも殺した。出来なわけがない。
「はいよっと!」
『GYa!?pIiii?!』
俺は迫るゴブリンの足を蹴り姿勢を崩して転ばせる。ナイフを持つゴブリンの手首に銃口をつけて引き金を引く。ゴブリンの腕がBB弾の衝撃で震える。痛みが走ったのであろう、ゴブリンはナイフを手放した。そして俺はそのナイフを拾ってゴブリンの胸に突き刺した。
『gya..a.....』
ほんの少しうめき声を上げてゴブリンは絶命した。すると視界に変なウィンドウがポップしてきた。
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ゴブリンを一体倒した。
スキルポイントを1P獲得。
ゴブリンナイフを手に入れた。
冒険者のジョブが解放された。
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「なにこれ?ゲーム?意味わかんない…」
ラノベで流行っているステータスシステムかな?でもリアルで見るとなんか違和感半端ない。ていうかこれがあるってことはあれかい?自分を強化できるってこと?はは、だったらいままでさんざんやってきた訓練って何なの?意味なくない?でも俺もう自衛隊員じゃないし、まあこういうズルを使ってもセーフか?はは。使いたくねー。
「まあとりあえず置いておこう」
俺は再び情報収集を再開し、街の探索を始める。
街をある程度歩いてわかったことがある。生きている人間の気配がまったくない。その代わりなのかゾンビちゃんやらゴブリンやらスライムやらが闊歩している。ゾンビの中に俺を迫害したえせ平和主義者なんかがいたから、多分死んだ奴はゾンビになるんじゃなかろうか?よくわからない。なおゴブリンにBB弾は聞きにくいけど、スライムにはメッチャ効いた。一発で膜が割れるらしくて、辺り一面が謎の粘液まみれになる。ちょっと楽しい。俺が寝ている間にこの世界はアポカリプスを迎えていた。
「不思議だ。なぜか生きがいを感じる。いつモンスターに殺されてもおかしくないのになぁ」
俺は生粋の兵士らしい。戦場の空気感のお陰で、頭が段々と冴えてきているのを感じる。ニートだったころの頭に靄が張ったような鈍い心はもうどこにもない。そして俺は街の中心部に近づきつつあった。すると近くから女の声が響いてきた。
「はぁあああぁあああああああ」
『GOOYOAOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
黒曜石のよう艶々した長い黒髪を振り乱し刀を振るって戦う青い瞳のJKがそこにいた。戦っている相手は火を噴く巨大なドラゴンである。意味不明な光景だった。俺は角に隠れてJKたちの様子を伺っていた。
「くぅうう。ここまでステータスを強化しても敵わないなんて?!」
JKは刀からオーラみたいな光を出しながらドラゴンの鱗に斬りかかっている。だけどドラゴンの鱗には傷一つついていなかった。圧倒的な力の差がJKとドラゴンの間にはある。
「…これはどうしようもないな。エアガンの俺じゃあれの相手は務まらない。…助けようがない。…仕方がないよな」
それにどうせ助けて何か意味があるんだろうか?こんなアポカリプスな世界でJK助けて何になる?滅びゆく世界の中でイチャイチャ逃避行でもするのか?しょうもない。余生は大人しく過ごすに限る。
「うわあああああん。助けてぇリリネお姉ちゃん!!」
「待ってて!必ず助けるから!」
よく見るとドラゴンの手に幼い女の子が握られていた。あのJKは子供を助けるために戦っているのか?
「なんだよそれ…。なんでそんなことができる?どうせ報われないのに?」
----いいえ。それはあなたの勘違い。人は必ず報われる。
それは俺を起こした女の声だった。突然太陽の光が俺の目に強く差してくる。真っ白に染まる視界の中で俺は日輪を見た。
----私はすべてを見てきた。人はどんなに大切なものを失っても必ず立ち上がれる存在であると。
そんなわきゃない。俺は頑張って人を助けたけど、こんなにも落ちぶれた。
----でも今あなたに再び時が巡ってきた。助けを求める人の声があなたの耳はもう届いてしまった。
だけどどうしようもないだろう。俺の手にはおもちゃの武器だけだ。何ができる。
----だから私がいる。あなたに力を与えてあげる。それは恵みの雨であり、すべてを破壊する嵐。そして人代を統べる王権の奇跡。運命を縛る
風が吹きすさぶ音が聞こえてくる。それはすべてを討ち払う嵐。それはすべてを育み育てる雨。確信した。このちからを手に入れれば目の前の人たちを助けることが出来ると。かつて自衛隊に入隊する時に誓ったことを思い出した。俺は守るために生きるのだと。いいよ。誰だか知らないけど、俺に力をくれよ。
----ええ。その祈り。この女神シャマシュが聞き届けん!あなたに与えましょう!この世を統べる人代の王権を!汝、我を娶りて王とならん!!
ん?娶る?ちょっと?!なんかやばいこと言ってませんかぁ?!女の宣言と共に光が俺の左手の薬指に纏い始めた。それは指輪になって俺の薬指にすっぽり嵌った。
「ふぁぁ?!」
そして気がつくと俺の左手側にオレンジ色の髪の毛の綺麗な女の子がいた。その子は俺の左手にぎゅっと抱き着いている。よく見ると彼女の左手の薬指に俺と同じ指輪が!?
「聖なる婚姻はここに結ばれたわ。あなたにかつて森の守護神を討ち払った風の力を与えてあげる。かの大英雄ギルガメッシュと共にあった風の力を!!」
俺とオレンジ色の髪の女の子の周囲に風が吹きすさぶ。そしてその力が俺の持つエアガンHK416に集まり宿っていく。今はっきりと理解した。このエアガンならばあのドラゴンさえも倒せると。俺は雄たけびを上げながら、ドラゴンに向かって走っていく。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!デカいのだけが取り柄のトカゲめ!」
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA』
ドラゴンがこっちに振り向く。だけどちっとも怖くない。
「え?だれ?!だめよ!人間じゃこいつには敵わない!逃げてぇえええええ!!」
JKが俺のことを心配して叫んでいる。申し訳ない。だけどすぐに終わるから許して欲しい。
「神代の風を感じろ!!自衛隊魂ぃぃいぃいぃぃいぃ!ファイヤー!!!!」
俺はフルオートでドラゴンに向かって引き金を引く。すると辺り一帯にすさまじい衝撃波が放たれる。
「え?きゃあああああああああああああああ!!」
JKはそれにスカートを煽られながら吹っ飛んだ。JKらしからぬきわどいカットのブルーのパンツがエチエチです!
『GYAAAAAAAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
放たれたBB弾は神代の風の力を纏ってドラゴンに当たった。そしてドラゴンの半身はそれだけで弾けて粉々に砕け散った。するとステータスウィンドウのポップが出てきた。
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サイタマドラゴンを倒した!
スキルポイントを1000p手に入れた。
ドラゴンボーン、ドラゴンの牙、ドラゴンの…etcを手に入れた。
ドラゴンスレイヤーの称号を手に入れた。
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半身が吹き飛んだドラゴンはそのままその場に崩れ落ちる。子供はその拍子にドラゴンの手から落ちたが、俺がダッシュして地面に激突する前に無事キャッチした。
「おじさんすげぇええええ!」
「おじさんはやめろ。お兄さんと言いなさい」
俺は子供をその場で下ろしてやる。子供は俺の持っている銃をキラキラした目で見つめている。
「それで撃ったの?ねぇねぇあたしにも撃たせて!」
子供が俺のHK416にペタペタと触ってくる。
「だめでーす。これは大人のおもちゃなんですー。こら!触っちゃいけません!」
子供とじゃれているうちに、風で吹っ飛ばされたJKが俺たちの方に走ってやってきた。そしてJKは子供に抱き着いて。
「よかったぁ。よかったようぅ」
「うわぁあああんリリネお姉ちゃーん怖かったよぅう」
無事を喜び合う二人を見て、なにか心が軽くなっていくような感じがした。
「いいものでしょう。人助けは」
「うお?!いつの間に?!」
気がついたら俺の左手にオレンジ色の髪の女の子が抱き着いていた。けっこう大きなおっぱいの感触が気持ちいい。
「助けていただいてありがとうございます!」
JKが綺麗に俺に向かって頭を下げる。
「いやいいよ別に。気にするな。俺は別に大したことはしてない」
なんか街で困っている人を助けたノリみたいな返事をしてしまった。
「いや!?滅茶苦茶気にしますよ!だってあのドラゴン倒して助けてくれたんですから!」
まあそうだよね。普通はそうなるか。
「あのそちらは奥さまですか?どうでしょう?この近くにわたしたちの拠点があります。食料もあるので、是非おもてなしさせてください!」
JKは蒼いお目目をきらきらさせながらそう言った。これ断りずらいな。
「そうね。お世話になりましょう」
「おい、決めてんじゃねぇよ」
「私はちゃんと屋根のあるところで結婚初夜を過ごしたいわ。まさか新妻を野宿なんてさせるつもりかしら?」
「はは!ツッコミどころが多すぎて意味わかんねぇよ!」
俺は頭を抱えた。世界はいつの間にか滅びていた。そして俺に女神なお嫁さんが出来ました!
カオスすぎじゃない?
プロローグエンド!
ネクストチャプター『埼玉王国爆誕編』に続く!
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