第17話

それから僕はリコメットと沢山話した。



彼女は魔道具の知識が豊富で、僕も楽しくなって沢山の知識を教えた。



可愛くて知識もあって、同じ話題で語り合える。



僕は魅了の魔法にかかったようだ。リコメットになら騙されても良い気がしてきた。



ダメだ。僕。冷静になるんだ。



リコメットが帰るまで、僕とリコメットには朝の日課が出来た。森の散歩だ。



そして毎日桃の樹まで案内し、一緒に桃を食べて帰るのが日課になった。



僕がジェットエンジンの設計図とにらめっこしてると、リコメットが話しかけてきた。



「ダクター。そんなに難しい顔してどうしたの?」



そう。僕達は敬語をやめた。この数日でとても仲良くなれたし。


良いよね?



「今作ってる物が上手く行かなくて。これが完成すれば空を飛べるのに」



「空を飛べるなんて。とても素敵ね」



リコメットの笑顔は何度見ても癒される。



「だけどさ、やっぱり完成させるには空飛ぶモンスターの素材か、刻印魔法じゃなくて付与魔法じゃないと解決しないんだよね」



「ダクター。相談があります」



「え?急に真剣な顔してどうしたの?」



「今から話す内容を秘密に出来る?そうしたらその問題を解決出来るよ」



僕は迷わず答えた。



「約束する」



そして衝撃的な事実だった。



リコメットは付与魔法が使えるのだ。



そこでアーリシア魔道国に持って行こうと思ってたジェットエンジンに、エアバーストと、フレイムバーストの魔法を付与してもらうことになった。



こんな素材に、しかも2つも付与するなんて魔力が足りない。っと思ったら、あっさり付与してしまった。



何も言わなかったけど、恐らく彼女は何かの加護を貰ってるのだろう。



「ではさっき約束した通り、完成したら乗せてね」



「完成したら乗せるのは良いんだけど、多分ガストン爺さんとゴドランにはバレると思う」



「ではそのお二人にも秘密を守って貰いましょう。もし秘密が漏れたら今後一切付与魔法を使ってあげません。フフフ」



と言うことになった。



流石にリコメットが居る間には完成しなかった。



寂しくなるな。



それから宰相様に金塊とゴーレムコアを納品した。高性能版のゴーレムコアはホントに数が少ないのに。



僕の手はなかなかゴーレムコアから離れなかった。



大分お金を溜め込んでしまったし、そろそろ何かに使わないと不味いかも。






そして魔道浮遊機が完成した。



「爺さん、取り敢えず魔石が10個入る魔力ボックスを4個搭載したけど、こんなに必要だった?」



「まあ長時間使うならそれくらい必要じゃろ」



この爺さん怪しいな。



「まあ良いか。それじゃあ実験開始。グリン。たのんだぞ」



「任せとけ」



グリンが浮遊車を起動すると、ゆっくり浮き上がり、大体1.5メートル位で止まった。



そしてジェットエンジンを起動させると、独特な甲高い音が聞こえる。



そしてグリンが操作レバーを手前に引いた瞬間、もの凄い爆音と共にグリンと浮遊車が消えた。



と思ったらかなり遠くまで進んでいたようだ。



戻ってくる時はゆっくり戻って来た。



「爺さん、何したの?」



「まあそう睨むでない。実はブースト機能を搭載したのじゃ。モンスターから逃げる時は必要じゃろう?上手く行ったようじゃし」



「そういう危ない事をする時は事前に言ってくれよ爺さん。いくらグリンでも危ないだろ」



「それも大丈夫じゃ。グリンが装備している防具には付与魔法のアブソープションがかかっておる」



「おい。爺さん、いつの間にそんな事お願いしたんだよ」



「なに。お主が親友がケガするのを心配しておったと言っただけじゃよ」



何してくれてんのこの爺さん。



「誰にも見られてないから安心せい」



「分かったよ。取り敢えずこのまま実験を続けよう」



ひとまず実験は成功した。想像以上の速度だった。



課題はある。



出力が上がれば上がるほど、前に進む速度は乗算で上がっていく。なので速度のコントロールが難しい。



それから方向転換の難しさだよな。



飛行機の前段階の実験としてはかなりの成果だ。



だがしかし、まず浮遊車にあんな速度はいらない。出力を落とせば全ての問題が解決する。



後、運転をレバー操作にしたのはとても好評だった。ま、カッコいいしね。片手で操作出来るのも魅力だし。



そして爺さんとゴドランは何やら浮遊車に、ライトニングダイルの角等を使ってライトニングバーストの遠距離化をして、攻撃に使おうとしている。



もう武器は爺さんとゴドランに任せよう。



取り敢えず、最初の浮遊車は危険なので一旦分解して作り直しだな。


まあ完成しても量産はしないけど。



だってジェットエンジン危ないし。



燃費を考えないなら、エアバーストのみのエンジンも作れそうだけど。これは簡単だから何台か作っておこう。


あ、そう言えば僕はそろそろ12歳になるのか。リコメットも同じとしだし、誕生日がいつか聞いておこう。


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