第3話 『絶対領域』とTS娘

絶対領域「何人にも侵されざる聖なる領域」、その『黄金比』は4:1:2.5とされている。


           * * *


 開店前『ネイルサロンTS』中央店にて。


「ねぇ、チーフ。 今日は久々に紺ブレに茶系統のプリーツスカートと黒のオーバーニーで絶対領域にしてもらおうかな〜」とその頃まだチーフとは付き合ってもいないわたし、中島しのぶはチーフ・安藤ラムに今日のコーデを依頼すろ。


「てんちょ〜って、ほんっとうに『絶対領域』好きですよね〜 もういい加減にいい歳なのに相変わらず可愛いんだから妬けちゃいますよね〜」

「なになに〜? おっぱいが84cmもあって身長160cmのチーフが幼児体型の『ちびっ子』のわたしに嫉妬してるの〜 そりゃわたしは低身長だけど赤目金髪の美少女だしぃ〜」


「ち、違いますよ〜!『その歳』でJK風の格好が似合うのが変というか何と言うか・・・」

「うっさい、歳のことは言うなよ〜」


「で、店長が言う『絶対領域』って結局のところ、ただの生足部分ですよね? それが何でそんなに重要なんですか?」

「かぁっ〜! 生粋の女子のチーフですらそれくらいの低い意識なんだなぁ〜 いいか、よく聞けよ〜『絶対領域』と言うのはだな・・・」と説明を始めると・・・


「え〜っと、たしかに境目にわずかに見える素肌の太ももの部分が萌え属性ってのはわかりますけど〜」

「お、ちっとはまともな答えだな。ただ生足部分だけが『絶対領域』ではないんだぞ」

「はあ?」


「絶対領域は『何人にも侵されざる聖なる領域』スカート、生足、膝上ソックスで構成されてるんだ」

「はあ・・・」

「そして『絶対領域』には『黄金比』というものがあってだな・・・」

「・・・」


「スカートの丈と生足部分、これと膝上ソックスの比率が、4:1:2.5、これすなわち完璧な『絶対領域』なんだよ、ラムくん! その誤差の許容範囲はプラスマイナス25%と言われているがな! それにその破壊力! 仙人をも見惚れさせ神通力を失わせる力がある! その空間は無敵だ!」

「はぁ、そですか・・・じゃ、さっさと『ネイル』塗って女子っちゃって下さいな。もう開店時間なんで」


「ちょいちょいちょい・・・まだ話の途中・・・」

「早くして下さい!!」


以上 『絶対領域』とTS娘

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