第2話 『カギャク』するTS娘

『可逆』逆もどりしうること。状況を逆にしたとき、反応や変化もまた逆の方向に進みうること。


               * * *


 TS学園大学 生物学部本館地下3階『生体検査室』(通称『ラボ』)にて。


「ねぇ教授。まだ『ネイル塗ったら』女子る子って見つからないの? わたしたち店長5人は数年間の差はあるけどみんなネイルが『トリガー』でしょ? あれから10年?経ってるんだけど・・・なんでなのさ〜?」とわたし、中島しのぶは一条教授に尋ねる。


 見つからないと新規店舗は既存店のチーフ以上のネイリストを店長に昇格させ、『女子化』時間の長い普通のトリガーを持ってる『TS娘』を『看板娘』のネイリストにするしかないのよねぇ。

 ま、『TS娘』がいるから看板に偽りはないからいいけど〜


「それはじゃな・・・あの時5人もの『ネイル』がトリガーだった子が見つかったのは・・・」

「のは?」


「・・・なんというか『偶然』?」


「はぁぁぁぁぁ??? なにそれ! 言うに事欠いて『TS学園』にその人ありといわれた『TS学』の権威のくせに『偶然』?」

「まあ、可逆性の『TS娘』はトリガーが千差万別で女子化時間も数分から、しのぶや他の店長みたいに『トリガー』がなくなるまで『半永久的』なのまであるしのぉ・・・」


「可逆性ねぇ・・・可逆性といえば、わたし『誰か』の実験台で『固定化』しちゃったのよね〜 あのさ、今更聞くけど『女体化促進剤』はわたしの血液から精製・製造したって言ってた(ネイルサロンTSの日常 20話『TS学園の秘密』参照・・・)けど、あれってウソなんでしょ? 大体血液をいくら精製したって『女子化因子』なんて抽出できないことくらいわかるんだからねっ!」


「い、いや、別にウソではないのじゃよ・・・『TS学』でもちゃんと・・・」

「え〜だったら、なんで他の店長4名にも『女体化促進剤』を投与したのにわたしとおんなじような若返りとか、ちびっ子(自分で言うかい)になるとか、髪や目の色変わらないのよ〜 それに教授ってば『TS学』なんて言ってるけど、わたし大学の時そんな講座見たことも聞いたことなかったわよ!」


 昔を思い出したわたしはそれから小一時間、教授を問い詰めた・・・


               * * *


「あ〜、しのぶが『固定化』したTS娘から『可逆』じゃない『加虐』性『TS娘』になってしもうたぁ〜」


以上 『カギャク』するTS娘

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る