MP=寿命の世界で!!~膨大な魔力を持つ僕はなんでもできる~
よめる よめ
第1話 望めば叶う
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いつもの草原の小高い丘。
僕らはよくそこに集まっていた。
「あら、ルーク。 今日はいつにも増して不貞腐れてるのね。」
「聞いてくれよ!エリーゼ!」
学校帰り、そこには決まって先客がいる。白いワンピースの女の子。木陰に座りこちらに微笑む彼女はいつも少し輝いて見えていた。
「ルークのやつ、あれだけ魔法は使うなって言われてんのに、学校のやつらにちょっとバカにされただけですぐ使おうとしやがってさ。 さっきまで母ちゃんにこっぴどく怒られたんだぜ!」
「おい、コナー! 勝手に全部いうなよ!!」
「なあなあエリーゼ! こういうときこそ“あれ”だろ?」
コナーと呼ばれた少年はわくわくした表情でエリーゼの隣に座る。
「そうね、コナー。 ほらルークもとなりにいらっしゃい? ……いい?いくわよ。」
〈夢を映す魔法〉
エリーゼが手を空に向けると、光の粒がふわふわを集まりだしそれぞれがそれぞれの色を放つ。
やがてそれが隙間なく固まると、空には険しい峡谷の景色を映し出された。
「今日は、正義の騎士様が悪のドラゴンを討伐するお話よ。 ……あらルーク、そっぽむいちゃってどうしたの。」
「…ぼくは寝る。 どうせいつものおとぎ話でしょ?エリーゼはぼくらよりすこしお姉ちゃんなのに…そんなのが楽しいなんて子どもみたい。」
「なんでだよールーク。 エリーゼの話はいっつも面白いじゃんか。 まあちょっと子どもっぽいのばっかなような気もするけど…。」
「まあ、コナーまで失礼ね! おとぎ話は嫌いかしら? …私は大好きよ。 ドラゴンの住む峡谷、妖精が舞う湖、色とりどりの花が咲き誇る花畑! この世界のどこかにそんな場所があったらと思うと夜も眠れないの。 いつか、そんな夢のような景色を見るのが、私の願い……」
ルークはもう聞き飽きたというようにうんざりとした表情を浮かべ、地面に横たわる。
「…ねえ、 もしも願いが叶うなら、ルークは何て願うのかしら?」
「……願いか。 ……ぼくは______
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微かに名前を呼ぶ声がしてふと目が覚める。
のそりと体を起こすと、心地よい風が鼻先をなで草原を吹き抜けてゆく。
その先へ目をやると、なにやら慌てた様子でこちらに全力疾走で向かってくるコナーの姿があった。
「ルーク!! おまえっ!何やってんだ!! こんなとこで!!!!」
コナーはルークのもとにたどり着くや否や、鬼の形相でその胸ぐらをつかんで怒鳴りだした。
「おいおい、どうしたんだよ。 いつにも増して騒がし_。」
「そんなこと言って場合じゃねえんだ!! エリーゼがっ!!」
エリーゼの名前を聞いた途端、普段とは様子の違う友達を前にあっけにとられていたルークの顔色が変わる。
まさか…
「エリーゼが倒れたんだ…! 医者が言うにはもう持たないって…!」
コナーの言葉が終わる前にはルークの足は草原を駆けだしていた。
この時ほど、顔をなでる風を鬱陶しいと思ったことはなかった。空気でさえ、エリーゼのもとへ向かうのを邪魔しているように感じた。一秒でも早く、一秒でも早く。
「たのむ……! 間に合ってくれ……!!」
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