アンと7人の小人
華川とうふ
アンとラッキーな七人の小人の物語
白雪姫が七人の小人の家を去ったあと、小人たちは退屈しておりました。
何もできない女の子でも家にいてくれるだけで家の中は明るく暖かものになっていたのです。
白雪姫が去ったあと、家は元通りのはずなのに、毎日がとてもつまらなくなってしまいました。
料理に掃除に洗濯と家事全般だめだめな白雪姫でしたが、可愛らしい女の子はそこにいるだけで男たちのやる気というのを引き出せるものなのです。
そんなある日、一人の女の子が小人たちの家を訪ねてきました。
名前はアンです。
アンは白雪姫と比べると、とても平凡な女の子でした。
日に焼けてそばかすの散った頬に、紅茶色の髪、目もどんぐり色。
「茶色ばかりでつまらないわ」と本人もいうくらい、普通な女の子でした。
いくら女の子に慣れていない小人たちでも、白雪姫が去った今、アンは面白みがないように思えるでしょう。
「小人さん、小人さん。しばらくここに泊めてくださらない?」
アンは小人たちに頼みました。
ですが、案の定。小人たちは首を振ります。
「だめだめ。おうちにかえりなさい」
すると、アンは泣き始めました。
「私には、帰る家がないというのに……なんていじわるな小人さんたちでしょう」
アンがさめざめとなくと小人たちは気まずそうに肩をすくめます。
もともと、女の子に免疫のない小人たちは、どうすればいいのか分からなかったのです。
アンがしばらく泣き続けると、一番読書家の小人がコップに水を汲んでアンにわたしました。
アンはうけとってコップの中身を飲みながら、再びお願いをします。
「お願い小人さん、私なんでもするわ。お料理もお洗濯もお掃除も、全部ちゃんとできるから」
そのいじらしい態度とアンの涙に小人たちはとうとう頷くことしかできなくなりました。
ですが、アンは白雪姫とは違い掃除も料理も洗濯も完璧にこなしました。
アンと七人の小人たちは末永く幸せに暮らしましたとさ。
アンと7人の小人 華川とうふ @hayakawa5
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