『7は私にとって特別な数字なの』そう言った彼女に恋をした。

鷺島 馨

『私にとって7は特別な数字なの』そう言った彼女に恋をした。

 ラッキー7。

 確かアメリカの野球の試合で7回目の攻撃で打った球が強風でホームランになったことに由来しているとか聞いた事がある。

 でも、それを言うならそのホームランによって負ける方のチームにとってはラッキーどころかアンラッキーなわけで。


 どうして僕がこんな事を考えているかというと。

『私にとって7は特別な数字なの』

 そう言った彼女の事を好きになった僕は7月7日に彼女に告白しようと決めてその日を待っていた。あの日の事を思い返していたからだ。


 4月に知り合った彼女に告白していい返事を貰えるように僕なりに努力を重ねて5月、6月と日を重ねて親密にはなれた。と、思う。

 そして7月に入ってカレンダーにバツじるしをつけてその日を待っていた。7日が近づいてくるにつれてドキドキがおさまらなくなってきた。


 そして決戦の日。7月7日を迎えた。

 いつもより早く起き出して入念に準備を済ませて登校した。

 げんを担いで家を出たのが7:07。時報を確認して丁度に玄関を出た。


 通学路を『告白は成功する!』と自分に言い聞かせながら歩いていた僕は路地から飛び出してきた自転車にぶつかられた。

「あっ」と声をあげた僕にスマホの画面から顔をあげて驚いた表情の女子高生がぶつかった。

 道路に手を突いた時に激しい痛みに襲われて声もあげられずにいる僕を残してその女子は投げ出したスマホを拾い「うわっ、ガラスが割れたじゃん」と言って去って行った。

 残された僕は通りかかった会社員が連絡してくれて病院へ。骨折している事がわかって治療、待っていた警察官にぶつかった相手の特徴を説明してと、まあ、そんな事をしているうちにその日は登校できずに終わった。


 在学中に三度、7月7日に彼女に告白しようとしてその都度災難に見舞われた。

「はぁ、ついてない。僕にとって7はアンラッキーな数字だったよ」


 僕は思いを残さないため卒業式の今日、告白する。

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『7は私にとって特別な数字なの』そう言った彼女に恋をした。 鷺島 馨 @melshea

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