隣の席の関さんと連絡先交換
二年の教室へ向かう。
隣に関さんがいるだけで、かつてないほどに視線を感じた。これほどまでとは……想定外すぎた。
このままでは俺は、死ぬ。
教室へ入り、一番隅の席へ。
俺の特等席だ。
カバンを置き、着席。
関さんも同じように。
「なんか、今日は凄い注目されている気がするよ」
「そりゃそうだ。二人で登校している姿なんて付き合っているようにしか見えないよ。もし、嫌なら考えるけど」
「問題ないよ。これからも一緒だからね」
白い歯を見せ、ニコニコ笑う関さん。
ちょっとした仕草でも神々しい。
こんな笑みを朝から見れるとは、俺はラッキーマンだな。
「良かった。俺も関さんと一緒がいいな」
「……ちょ、有馬くん。それ嬉しすぎ」
今度は照れくさそうに笑う。
うむ、何度見ても飽きない表情だ。
「ああ、そうだ。関さん」
「ん~?」
「連絡先を交換してくれ。メッセージアプリとか」
「じゃ、スカイラインでいいか~」
メッセージアプリ『スカイライン』は、無料でメッセージや電話が可能なアプリだ。俺はもちろん、家族しか登録がない。
女子といえば、姉ちゃんくらいだ。
俺は、関さんとスカイラインを交換。
これでついに姉ちゃんと母さん以外では、はじめての女子が登録された。
「ありがとう、関さん。優しいんだな」
「当然。これで少しは距離感が縮まったね。いつでもメッセージして。あと電話も」
「おう。いろいろ話そう」
「これからが楽しみだなぁ」
そんな中、ホームルームの時間が迫っていた。
そろそろか……。
教室が静かになって――しばらく。
ドアが開いて担任の
教壇に立ち、周囲を見渡す魚谷。
なんだか……こっちを見ているような。
いや、見ているな。
「有馬、関、お前たち二人は廊下へ来なさい」
「「え……!?」」
突然、俺と関さんが名指しされ、ビックリした。教室内も騒然となった。
「え、有馬と関さん?」「なんであの二人?」「席が隣同士だけど、関係あるのかな」「そういえば、朝二人で登校していたよな」「あの二人って付き合ってるの~?」「まさか~。だって、あのぼっちの有馬くんだよ」「二人が話してるところ見たことないよ」
おい、ぼっちは余計だ!
って、そんな場合ではないな。
なぜ魚谷は俺たちを呼んだ?
なにもしていないぞ。
渋々ながら席を立つ。関さんも困惑しながら俺の後をついてくる。
クラスメイトがこっちを見ている。……だるぅ。
廊下へ出ると、これまた険しい魚谷が腕を組んでいた。
「あの……先生。なにか問題でも?」
俺が聞くと、魚谷はメガネをクイッと指で持ち上げた。
「有馬、お前と関は付き合っているのか?」
「は……はい? それがなんの関係があるんですか」
「おおありだ。関は有名人でみんなの憧れ。アイドルのような存在といっても過言ではない。それをお前が独り占めしたら風紀が乱れる」
な……なんだそりゃ!?
とんでもない発言に、俺は一瞬頭が混乱した。この担任、なにを言っていやがるんだ。
「付き合うくらい普通でしょう。関さんもそう思うよね?」
「有馬くんの言う通りです。そもそも、わたしと有馬くんは“許嫁”なのでなんの問題もないんです」
関さんが許嫁のことを言うと、魚谷は固まった。
「な…………なに?」
「だから、許嫁なんです! 親公認なんですよ。付き合ってもなにも問題ありません」
「なにいいいいいいいいいいい~~~~!?」
なんで、そんな驚く――!?
てか、叫びすぎだろ。
教室内どころか学年中の生徒とか先生が何事かと顔を出し始めている。おいおい……。どうするんだ、これ。
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