アンラッキー7ガールズ

黒姫百合

第1話 アンラッキー7ガールズ

 この学校にはアンラッキー7ガールズという女の子たちがいる。

 この名称は別に女の子たちが自ら名乗っているわけではない。

 ただ生活しているだけなのに、どんどん不幸が舞い降りてくる。

 その様子を見ていた生徒たちはその七人の女の子のことをアンラッキー7ガールズと呼ぶようになった。

 私はボッチだったからその女の子たちがアンラッキー7ガールズと呼ばれていたことを知らなかった。

 確かに七人の女の子は私目線でもかなり不幸な女の子だった。

 例えば収穫まじかの野菜を全部虫に食べられたり、球技をすると必ず一回は顔面にボールが当たったり、くじ引きをすると次の人が必ず一等を当てたり、どんなに靴紐を結んでもすぐに靴紐が解けたりと、そこまで深刻なことではないが、地味に不幸なことが起こる女の子たちがいた。

 こんなことを思うのは傲慢かもしれないが、アンラッキー7ガールズの間違いなくラッキーだったことは、この私と会えたことだ。

 私はアンラッキー7ガールズに会えて、間違いなく幸せになれた。

 きっとそれはアンラッキー7ガールズも同じだろう。

 人の幸福量は全体を通すと一定であるという、幸福量一定の法則という法則があるらしい。

 彼女たちは確かにアンラッキーだった。 

 でもそのアンラッキーはこの幸せな道へと続くための試練だったのかもしれない。

「晩御飯ができたわよ~」

 ドアの向こうからアンラッキー7ガールズの一人の声が聞こえる。

 どうやら晩御飯ができたらしい。

「うん、今行く」

 私はその声に返事をする。

 高校生の時、確かに私たちは確かにアンラッキーというかあまり良かったとは言えなかった。

 それはこの未来へ行くに必要なプロセスだったのかもしれない。

「……何度も思い出すな……あの高校生だった日のことを」

「高校生の頃って何年前の話よ」

「だってあの時私があの高校に入っていなかったらあなたに出会えていなかったから」

「……照れるわね、そんなに直球で言われると」

 アンラッキー7ガールズの一人だった〇〇が照れる。

 その顔も可愛い。

 今なら言える。

 あの高校生活は無駄ではなかったと。

 

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アンラッキー7ガールズ 黒姫百合 @kurohimeyuri

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