フライパンの上の子人

白犬狼豺

第1話 ホムンクルス完成

「君もよく知っている通り、僕、露木徒然つゆきとぜんは命を生み出す研究しかできない能無しなんだ。ありとあらゆる人造人間の知識を持っているが、何を見ても人間の材料になるかどうかしか関心が湧かない。しかし一度も成功したことはなかった」


 ある日、人生で初めての一人暮らし中に唯一作れるカップラーメンと冷凍食品が切れ、お腹が減りまくりだった時、ふと親に食材を与えられていたことを思い出す。

 冷蔵庫を開けると

 ・緑色に変色した豚の細切れ肉

 ・芯が茶色の液体でドロドロになったキャベツ

 ・黒く潰れた人参

 ・いつからあるかわからない冷凍の焼きそばの麺と調味料


 「……焼きそばでも作るか」

 徒然の危機管理は絶望的だった


 野菜を人参、キャベツの順に切る

 切った野菜をフライパンで炒め、細切れ肉を加える。

 電子レンジで麺を解凍する

 麺の袋は熱でドロドロに溶けるので、その中から耐熱手袋で麺を取り出す

 真っ黒に炭化した野菜をノミでこそげ落としながら麺を入れる。


「ここに麺、それに塩胡椒、醤油と○の素で焼きそばかんせー」


 ホムンクルスができました。


……


「ホムンクルスができました」

「できるわけなくない?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る