7発目は撃つんじゃない!
七霧 孝平
死を呼ぶ7発目
某国にとあるひとつの銃が伝わっていた。
その銃を手にしたガンマンは伝説になれる……。
それを信じ、この銃を求め手にした者は何人もいたが、
彼らは皆、短い命を終えた。
その銃は今、とある富豪が持っていた。
もちろん富豪自身が銃を撃つわけではない。
富豪にとってはコレクションのひとつにしか過ぎなかった。
その富豪の元に、一人のガンマンが訪れる。
「わしに何の用かね?
と聞かずとも、その身なりを見ればわかる。
貴様もあの銃を欲して来たのだろう?」
富豪はやれやれと呆れる。
富豪の元には今までも何人ものガンマンが訪ねてきていた。
その度に富豪は、売り渡したり、物々交換して銃を手放したが、
ひと月もせずに、銃はまた富豪の元に戻ってきていた。
「さて、貴様は何を持って、この銃を手に入れたいのだ?」
「……」
ガンマンの男は、身なりに似合わぬケースを机に置く。
それを開けると、金貨が大量に入っていた。
「む!? こ、これは……!」
富豪はその金貨の量に驚いた。
富豪にとってもそこそこの額。
いちガンマンが持ってる金貨とは思えない。
「こ、これでこの銃を買うというのか……?」
ガンマンは頷くと、銃を手に取り、そして屋敷を去っていく。
富豪はガンマンを目で追いながら、
何回目か、ガンマンの無事を願っていた。
ガンマンはある闇カジノにいた。
そこではロシアンルーレットが行われている。
ガンマンはそこの席に座ると、自身の銃をセットする。
審判が銃をチェックするが、問題はないと判断された。
ガンマンの前に、対戦相手が現れる。
ロシアンルーレットが始まり、入れ替わり銃を撃ちあうはずが……。
「俺が面白いものを見せてやるよ……」
ガンマンは自分の番になると、まとめて3発撃つ。
弾が出ないことにある観客は喜び、ある観客は悲しんだ。
そして、対戦相手は次の番、ルーレットに負けた。
その後もガンマンはロシアンルーレットに勝ち続けた。
ガンマンはその銃が、七発目に死をもたらす伝説を知っていた。
ガンマンは上手く七発目を、相手にぶつける作戦を取っていた。
正確には七回目を……だが。
関係ない場所で銃を撃ち、七回目を調整していた。
そんなある日だった。
「私が先行でいいかい?」
対戦相手の貴族らしき男が言った。
ガンマンは油断していたわけではないが、それを許可する。
すると――。
男は銃を頭に当てると、六回引き金を引いたのだ。
「!」
ガンマンにはもう手はない。
伝説があろうとなかろうと、弾倉は最後1発。
ガンマンの死は確定である。
「う、うわああっ!」
やけになったガンマンは、銃を貴族に撃とうとして……暴発した。
ガンマンを見下ろしながら貴族は呟く。
「魔銃『アンラッキー7』。七発目を撃つものは確実に死を迎える。
君は回数を調整していたようだが、回数は関係ないのだよ」
そう、ガンマンが勝ち続けたのは運が良かっただけ。
真に伝説の意味を理解していなかった。
『7発目』その法則の銃からは逃れられないのだから……。
7発目は撃つんじゃない! 七霧 孝平 @kouhei-game
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